うつ病や不眠などのサプリメントで多く含まれる、トリプトファンの副作用はどのようなものがあるのか知りたいという方は多いでしょう。
トリプトファンは必須アミノ酸で体に必要な栄養素ですが、実は死に直結する副作用もあります。副作用の存在を知らずに多量摂取してしまうと、知らずに命を落としてしまうかもしれません。
特にサプリメントや健康食品等でトリプトファンを摂取する場合は注意が必要です。
自分の健康を守れるのは自分だけです。トリプトファンの副作用についての知識を持ち、自らの健康を守りましょう。
1.トリプトファンの副作用
トリプトファンの副作用として報告されているもので最も厄介なのは好酸球増加・筋痛症候群というものです。
この病気は好酸球が異常に増加することにより、重度の筋肉痛や、好酸球の増加に伴う臓器不全などがおこる病気です。
トリプトファンのサプリメントを摂取したことにより、この病気を発症した被害者は1500人以上、死亡例は37件にのぼることがアメリカ食品衛生局により報告されています。
原因に関しては未だはっきりしていませんが、サプリメント等による過剰摂取は避けたほうがよいでしょう。
1-1.トリプトファン事件
トリプトファンのサプリメントを摂取したことにより、好酸球増加・筋痛症候群を発症し、死亡事例まで出たケースです。
トリプトファン事件とは、米国において1988年末から1989年6月にかけて、昭和電工が製造した必須アミノ酸である「L-トリプトファン」を含む健康食品を摂取した人の血中に好酸球が異常に増加して筋肉痛や発疹を伴う症例、好酸球増加筋肉痛症候群が大規模に発生した事件である。FDAのサイトによると、被害は1,500件以上、死者38名と記録されている
トリプトファン事件の原因について
原因については3つの仮説があり、はっきりとわかっていないのが現状です。
- トリプトファンの過剰摂取
- 体質によるもの
- サプリメント製造時に混入された不純物
ただし、不純物が原因である可能性は低いと私は思います。
というのも、特定された不純物による動物実験では、含まれていた不純物量の8000倍でようやく症状がでたという報告があるからです。
このことを考えると、過剰摂取か体質によるものが原因でないかと考えられます。
1-2.その他の副作用
トリプトファンの副作用で考えられているものとして好中球増加・筋痛症以外でも
- 胸焼け
- 胃の痛み
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 頭痛
- 眠気
- 筋力低下
- 性機能異常
が考えられています。
これらの症状が出た場合は、すぐにトリプトファンを中止するべきでしょう。
2.副作用を引き起こさないようにするために
副作用を引き起こさないためには、サプリメントではなく、食品で摂取するのが最も良いでしょう。食品で摂取する分においてはほとんど安全です。
どうしてもサプリメントを利用したい場合は、商品に記載されている用量用法を必ず守りましょう。
2-1.トリプトファンを多く含む食材TOP10
食品名 | 含有量(100g中) |
---|---|
ゴマ | 370mg |
すじこ | 330mg |
ナチュラルチーズ | 320mg |
かつお | 310mg |
黒マグロ | 300mg |
牛レバー | 290mg |
プロセスチーズ | 290mg |
豚ロース | 280mg |
たらこ | 280mg |
油揚げ | 270mg |
2-2.サプリメントで摂取する場合の摂取量の目安
基本的にはサプリメントの用量用法を守ってください。ここでは、効果があったとする研究をもとに、サプリメントの摂取量の目安を紹介しています。
特にうつ病では食品で摂取できる量なので食品で摂取するほうが良いでしょう。
- 睡眠障害:1~2.5g
- うつ病:1日300mgを抗うつ薬とともに用いる
- ダイエット等:実験なし
参考文献:ナチュラルメディシン・データベース
3.副作用の危険が高い人
以下にあてはまる方々では、L-トリプトファンをサプリメント等で摂取しないでください。病気が悪化したり、思わぬ悪影響を及ぼす可能性が考えられています。
- 肝臓、腎臓の病気の人
- 妊娠中・授乳期
- 抗うつ薬を利用している人
- 鎮静薬を利用している方
参考文献:ナチュラルメディシン・データベース
3-1.肝臓や腎臓の病気の方
肝臓や腎臓の病気を悪化させるおそれがあります。
トリプトファンは好酸球増増加筋痛症と関連があると考えられています。好酸球の増加は肝臓や腎臓といった代謝・排泄に関わる臓器に負担をかけます。そのため、肝臓や腎臓の病気の悪化の可能性があります。
肝臓や腎臓の病気の方ではL-トリプトファンをサプリ等で利用しないようにしましょう。
3-2.妊娠中・授乳期
妊娠中のL-トリプトファンの摂取は赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。
授乳期にかんしては明らかになっていません。しかし安全性を考慮すると、トリプトファンを摂取しないほうがよいでしょう。
3-3.抗うつ薬を利用している方
一部の抗うつ薬とともに摂取するとではセロトニン値が上がりすぎ、心臓の異常やふるえ、不安感といった副作用を引き起こす可能性が考えられています。
L-トリプトファンを利用してはいけない薬
代表的なL-トリプトファンを利用してはいけない薬について挙げます。
アミンポンプ阻害薬
- フルオキセチン
- パロキセチン
- サートラリン
- アミトリプチリン
- クロミプラミン
- イミプラミン
MAO酵素阻害薬
- フェネルリジン
- トラニルサイプロミン
3-4.鎮静薬を利用している方
鎮静剤を利用している方がトリプトファンを利用すると、ひどい眠気におそわれる可能性があります。
L-トリプトファンは眠気を引き起こすことがあります。鎮静剤は眠気も引き起こす薬です。同時に使うとひどい眠気が起きる可能性があります。
具体的な鎮静薬
具体的な鎮静剤の例として以下が挙げられます。
- クロナゼパム
- ロラゼパム
- フェノバルビタール
- ゾロピデム
4.まとめ
トリプトファンは食事で摂取する分には安全ですが、サプリメント等では死につながる副作用を引き起こす可能性があります。
できるだけ食品で摂取するようにし、副作用を回避しましょう。もし、サプリメントを利用したい場合は必ずしっかりと商品の用量・用法を守りましょう。
また、一部の人では副作用が起きやすいです。自分が当てはまらないか確認してから利用することを強く勧めます。
自分自身の健康を守れるのは自分しかいません。しっかりとトリプトファンの副作用について理解し、健康を守りましょう!
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