高カルシウム血症と診断されたものの、どういった病気なのか詳しく知りたいとお思いではないでしょうか。
聞いたこともない方もいらっしゃるでしょうし、いきなり病院で指摘されると不安ですよね。
高カリウム血症とは、血液中のカルシウムの濃度が異常に高くなった状態のことを言います。軽度のうちは疲れやすい、脱力感があるといったものですが、重症になると意識を失ったり緊急なものになることがあります。
とはいうものの、重症だと即入院ですので、これを読んでいる方は軽症の可能性が高いでしょう。
重症の高カルシウム血症になってしまわないためにも、高カルシウム血症のことを詳しく知っておきましょう!
1.高カルシウム血症の症状
高カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が11mg/dl以上になった場合のことを言います。(12mg/dl以下を軽度、14mg/dl以上を高度)
カルシウムは体の中で、筋肉の正常な働きや神経伝導、ホルモンの放出、血液を固めるなど様々な働きをするため、カルシウムの濃度がおかしくなると体に様々な不調が出ます。
ここから詳しく見ていきましょう。
軽度の高カルシウム血症の場合
多くの場合は無症状です。
症状が出た場合も脱力感や疲れやすいといったありふれた症状です。
高度の高カルシウム血症の場合
意識がふと無くなったりするような意識障害や、脱水、腎不全などが起こります。
高カルシウムそのもので死に至ることはめったにありません。しかし、腎不全などの重篤な病気の恐れがあるため、内科的に緊急となります。
代表的な症状の一覧
よく見られる症状 | 疲れやすい、倦怠感 |
中枢神経症状 | 焦燥感、錯乱、幻覚、錯覚、意識障害 |
尿関連 | 多尿、多飲、のどの渇き、腎不全 |
循環器系 | 血圧上昇、心電図変化(QT短縮) |
消化器系 | 食欲低下、嘔吐、胃潰瘍 |
その他 | 偽痛風、皮膚のかゆみ |
2.高カルシウム血症の原因とは
高カルシウム血症の主な原因は病気や薬、ビタミンDの摂りすぎ、サプリメントによる過剰摂取などがあります。
原因 | 代表的なもの |
---|---|
病気 |
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薬 |
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その他 |
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高カルシウム血症になるメカニズム
病気や薬などが原因により、
- 副甲状腺ホルモンというホルモンが多くなってしまう
- 骨からのカルシウムの放出が増える
- ビタミンDが過剰になってしまう
- 腎臓でのカルシウム排泄が低下する
といった状態になり、高カルシウム血症になってしまうと考えられています。
さらに詳しく知りたい方や医療関係者の方はメルクマニュアルの「カルシウム濃度の異常」を参照されるのが良いでしょう。
3.高カルシウム血症の治療
多くの場合は原因に基づいて、カルシウムの吸収を抑制する薬を使います。ただし、緊急の場合は脱水や腎不全に対応する必要があるため、異なる方法を取ります。
3-1.軽度の高カルシウム血症の場合
軽度の高カルシウム血症への対応としては
- 骨吸収を抑える
- 消化管からのカルシウム吸収を抑える
の二つの方面からアプローチします。
骨吸収の抑制
骨からのカルシウム吸収を抑えることで血液中のカルシウム濃度を下げます。代表的な薬として、ビスホスホネートやカルシトニンが挙げられます。
ただし、これらの薬は即効性がないため、作用が出るまで2~3日ほどかかり、緊急の場合には向いていません。
骨粗しょう症やガンなどにより高カルシウム状態になっている場合に主に用います。
消化管からのカルシウム吸収を抑える
食事などからのカルシウムの吸収を抑えることで血液中のカルシウム濃度を下げます。代表薬としてグルココルチコイドを用います。
ビタミンD中毒や、副甲状腺ホルモンの産生が増えている場合に主に用いられます。
3-2.緊急の場合
緊急の場合はまず脱水の対処やカルシウムを体内から排泄することを考えなくてはなりません。そうすることで、腎不全などの重篤な病態を予防することができます。
基本的には、生理食塩水を投与し、その後フロセミドなどの薬剤を投与することが多いです。そして、緊急性がなくなったら原因に応じて3-1.軽度の高カルシウム血症の治療でお話した治療をすることになります。
生理食塩水の投与
尿濃縮障害により失われた体液の補充と尿細管でのカルシウムの再吸収を妨げるために用いられます。これにより、脱水を補正します。
フロセミドの投与
腎臓からカルシウムを体外に排泄するためにフロセミドという利尿薬を用います。ただし、脱水を悪化させないために十分生理食塩水を投与した後に行います。
4.まとめ
これまで高カルシウム血症はどういう病気か、原因や治療法などをお話してきました。
軽度であれば悪い状態ではありませんが、重症になると非常に危険です。軽度のうちにしっかり医師の言うことを守り、重度になってしまわないようにすることが重要ではないかと思います。
参考文献
- メルクマニュアル
- イヤーノート
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