健康診断でコレステロール値が高いと指摘され、不安に思っていませんか?
コレステロール値が高いと、いずれ動脈硬化を引き起こし、最終的に死につながる恐れがあります。ゆっくり進行していくとはいえ、早めになんとかしたいですよね。
この記事では、コレステロール値を下げるために、私たち医大生で複数の医学論文や医学書を検討し、一般の方にもわかりやすく、生活に取り入れやすいようにまとめました。
ぜひ科学的に根拠のある方法を実践して、コレステロール値を下げ、健康を手に入れましょう!
目次
3.これでコレステロールの悩みとはおさらば!3ステップの具体的な行動プラン
1.コレステロール値を下げた方が良い理由
コレステロール値を下げた方が良いと良く聞くかと思います。しかし、なぜコレステロール値を下げるべきなのかご存じでしょうか?
その答えは、コレステロールの中でもLDLコレステロールが動脈硬化の原因の一つだからです。
では、次の項目でなぜ動脈硬化が危険なのか見ていきましょう。
一部の書籍やインターネットの情報では、コレステロール値を下げると逆に健康に被害を及ぼすと書かれています。正確には「コレステロール値が基準値を下回ると、低コレステロール血症という別の病態を引き起こす」ということです。ただし、これはほとんどの場合、別の病気が原因で起こります。食事などでは、ほとんど食事を摂らないなどの低栄養状態でないとならないことが知られています。そのため、あまり気にしなくて良いでしょう。
動脈硬化になると何が危険なの?
コレステロール値が高くなり動脈硬化になると、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳梗塞などといった命に関わる病気を引き起こすことが知られており、大変危険です。
たしかに、今すぐ命に関わるというわけではありません。しかし、数年後にこれらの病気が原因で死んでしまう可能性があるというのはとても恐ろしいことではないでしょうか。しっかりと、次の項の2.コレステロール値を下げる根拠のある方法を実践していただき、コレステロール値を正常に戻しましょう!
死につながるメカニズム
動脈硬化により血管が狭くなったり、プラーク(内部にコレステロールなどがたまった、血管の壁のコブ)が破れることで、心臓や脳を栄養している血管が詰まることがあります。すると、その先の細胞に酸素や栄養がいかず、最悪の場合、命を落としてしまいます。
2.コレステロール値を下げる、科学的に根拠のある方法
コレステロール値を下げるためには、基本的に生活習慣の改善が大きな割合を占めます。
簡単にいうと、食生活を改善して運動し、禁煙をすれば多くの場合改善します。とはいうものの、どういった食事やどれくらい運動すれば良いかなど、目安がないと難しいですよね。
そこで、この項目では医学研究などをもとに、正しい生活習慣の改善について、実行に移しやすいように詳しく解説しました。
2-1.食生活の改善の仕方
コレステロール値の高い人では、食生活を改善する必要があります。
2508人を対象にした比較研究1)では、食生活の改善だけで60%の患者の総コレステロール値とLDLコレステロール値が下がったことが報告されているほどです。
日本動脈硬化学会のガイドラインによると
- 飽和脂肪酸とコレステロールの摂取量を減らす
- 食物繊維と植物ステロールを積極的に摂取する
の二つが重要になります。具体的にどういった食材か見ていきましょう!
摂取を控えた方が良い食材
コレステロールを多く含む食材、飽和脂肪酸を多く含む食材として、これらの食品が挙げられます。
- 肉の脂身、内臓、皮
- 乳製品
- 卵黄
- 菓子類
- 加工食品
コレステロールが高めと言われた人ではこれらの食品は避けるのが良いでしょう。
摂取すべき食材
食物繊維と植物ステロールは、コレステロールの吸収を抑える働きがあることがわかっています。多く含むものとして
- 未精製穀類
- 大豆製品
- 海藻
- 野菜
などが挙げられます。
2-2.コレステロールを下げるために必要な運動
コレステロール値を下げるためには、運動をすることも必要不可欠です。
377人を対象に運動だけ、食事だけ、運動と食事の組み合わせの3つに分けて治療を行った、RCTという信頼性の高い研究2)があります。その結果、運動と食事を組み合わせたグループでは、他の二つよりも14.5~20mg/dl有意にLDLコレステロールの減少が見られたという報告があります。
運動の指針
1日30分の有酸素運動を楽〜ややきつい程度の強度で行うのが良いとされています。できれば毎日続けるのが良いです。無理な場合でも週180分以上を目標にしましょう。
推奨されている運動としては、速歩、スロージョギング、社交ダンス、水泳、サイクリング、ベンチステップ運動などがあります。
コレステロールの悩みをお持ちの方では、運動に対してモチベーションが続かない方が非常に多くいらっしゃいます。そういった方では、通勤などの日常生活に運動を取り入れる(5分のバスで行っていたのを徒歩で、など)や毎日5分程度の続けられるレベルの運動から始めるのが有効なこともあります。試してみるのも良いでしょう!
2-3.禁煙は動脈硬化の予防のために超重要!
禁煙は直接コレステロール値を下げるというよりも、コレステロール値によって引き起こされる動脈硬化の予防のためにとても重要です。
タバコに含まれる酸化物質は、血管の内皮細胞という細胞を傷つけることで動脈硬化の原因になります。
step1.最終目標をしっかり把握しよう!の項目で紹介することになりますが、タバコを吸っている方とそうでない方で、目標とするコレステロール値も変わってきます。それくらい禁煙は重要な要素です。
後回しにせず、禁煙のために行動を今から始めましょう!
2-4.サプリメントや健康食品の利用も一つの手
コレステロール値を下げるためにはサプリメントや健康食品を利用するのも一つの手です。
生活習慣の改善の手助けと思い、利用するのが良いでしょう。(生活習慣の改善無くしてサプリや健康食品だけで改善することは絶対にあり得ません。)
それらの商品は食物繊維や食物ステロールなどを多く含むものを原料とし、コレステロールの吸収を抑えるものが多いです。
失敗しない選び方
サプリや健康食品のなかには、効果がないのに効果があるように見せている商品も非常に多くあります。
一番良いのは「コレステロールが高めの方に」と書かれたトクホの商品を選ぶことです。成分について科学的に根拠が示されており、その商品に対して安全性、有効性の点で国の審査に通らなくてはなりません。そのため、その他の健康食品と比べ、効果の可能性、信頼性は雲泥の差です。
コレステロールの吸収に関わるトクホとしては、えがおのコレステロールなどがあります。
2-5.薬物療法は次善策!
生活習慣の改善で脂質管理が不十分な場合には、薬物療法を考慮する。
日本動脈硬化学会:脂質異常症治療のエッセンス
上の様に日本動脈硬化学会でも言われており、基本的に薬物療法は次善策です。
というのも、非常に有効な薬ではあるものの、稀に厄介な副作用(横紋筋融解症や認知機能障害など)が起こることがあるからです。コレステロール値を下げるためには、長期間薬を飲まなくてはならないため、副作用のリスクも上がります。
運動や食事の改善は面倒だから薬に頼ろうなどとは思わず、まずは生活習慣の改善を徹底しましょう!
薬物療法を行った方が良い人
とはいうものの、例外もあります。
- 生活習慣の管理でコレステロールが十分に下がらない人
- LDLコレステロール値が180mg/dlが続く人
- これまで冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)になったことがある人
- 糖尿病、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患
- 家族性高コレステロール血症ホモ接合体
これらの方では早めに薬物療法を行った方が良いとされています。特に下3つは、早くコレステロール値を下げないと命に関わる恐れもあるため、薬を利用することになります。
薬を使わない方が良い人
基本的に、若年者や女性などでリスクの低い人では、薬を使わない方が良いとされています。
特に妊婦さんの場合、スタチンなどのコレステロールを下げる薬は禁忌となっています。海外から個人輸入したりするのは絶対にやめましょう。
3.これでコレステロールの悩みとはおさらば!3ステップの行動プラン
これまでコレステロールを下げるためにどういったことをすれば良いかをお話ししてきました。
しかし、行動に踏み切れないという方も多いでしょう。その様な方でも、実際に行動に移しコレステロール値を下げられるよう、具体的な行動プランを作りました。
行動プラン通りにやっていただくだけで、大きく生活習慣は変わり、コレステロール値も改善するかと思います。長期の戦いになるので、モチベーションの維持が非常に大事だということもおさえつつ、頑張っていきましょう!
Step1.行動の前の準備!目標をしっかりと把握しておこう!
年齢や性別、生活習慣などにより、高コレステロールによる動脈硬化のリスクは異なります。当然、リスクの高い人では、より低いコレステロール値を目標にしなくてはなりません。
自分の場合どこがゴールなのか、具体的に知っておかなければ、モチベーションを維持できないでしょう。多少面倒かもしれませんが、自分の目標とするコレステロール値を算出しましょう。
Step1-1.自分のリスク分類を知る
- 冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)になったことがある人→2次予防
- 糖尿病、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患→高リスク
- それ以外の方→下の表を参照
まず、最高血圧+総コレステロール値を求めましょう。その数値を元に、下の表で自分のリスク分類を知りましょう。
男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|
非喫煙 | 喫煙 | ||
60~75歳 | 400以上→高リスク 400未満→中リスク | 360以上→高リスク 360未満→中リスク | 数値に関わらず中リスク |
50~59歳 | 340以上→中リスク 340未満→低リスク | 440以上→高リスク 320~439→中リスク 320未満→低リスク | 数値に関わらず低リスク |
40~49歳 | 440以上→中リスク 440未満→低リスク | 400以上→中リスク 400未満→低リスク | 数値に関わらず低リスク |
※HDLコレステロール値が40未満の方、近親者に50~55歳未満で心筋梗塞などになった人がいる方、耐糖能異常の方ではリスクを一つあげてください。
※上記の表は医療者向けの脂質異常症治療のエッセンスの診断基準を一般の方のために簡素化したものです。正確に知りたい方は元ページをご覧ください。
Step1-2.目標とするべきコレステロール値
LDLコレステロール値 | HDLコレステロール値 | 中性脂肪 | |
---|---|---|---|
2次予防 | 100未満 | 40以上 | 150未満 |
高リスク | 120未満 | ||
中リスク | 140未満 | ||
低リスク | 160未満 |
低リスクの方などでは上の目標値よりも低いLDLコレステロール値の方もいらっしゃいます。そういう方はLDLコレステロール120未満を目指しましょう
残念ながら血液検査しかありません。症状では判断することができません。病院に行く時間がない場合などでは、血液検査キットを利用するというのも一つの手です。
Step2.目標のコレステロール値を達成するためのモチベーションの作り方
前準備として、目標とするコレステロール値を知ったかと思います。ゴールがわかれば、あとはモチベーションを維持し続けることと、実際に行動し続けることでコレステロール値を下げることができます。
この項目では特にモチベーションの維持の仕方をお話しします。あくまで私の意見ですが、目標達成できるかの80%はモチベーションにかかっていると思います。それぐらいモチベーションの維持は重要なことなのです。ぜひ、しっかりと実行してほしくおもいます。
健康になった自分を徹底的に想像する
モチベーションの維持において、ゴールを達成した自分を想像するのは非常に有効です。多くのプロスポーツ選手もイメージトレーニングを練習に組み込むほどです。
達成した際には、動脈硬化による命の危険はだいぶ減っています。おそらくダイエットや禁煙などにも成功していることでしょう。ゴールを達成したあなたをみて、周りの人はどのように言いますか?体と気持ちが軽くなったその時のあなたの感情はどうですか?できるだけ具体的に映像のようにイメージするのが良いでしょう。
毎日10分時間をとって、健康になった自分を鮮明に思い浮かべましょう。長期にわたる生活習慣の改善では、モチベーションの維持こそ何よりも重要です。
周りの人に宣言する
周りの人に宣言するのも、退路を断つために有効です。
周りの人はあなたがタバコを吸っていたり、コレステロール値が高い食事を食べていると、指摘してくれるでしょう。それを真摯に受け止めることは現状を正しく認識して、モチベーションを保つことにつながります。
コレステロール値と体重の効果測定
実際に結果が出ているかどうか、しっかりチェックすることはモチベーションの維持に非常に重要です。
- 体重は1日1回同じ時間にチェック!
- コレステロール値は1ヶ月に1回病院や、血液検査キットでチェック!
これをしっかり徹底しましょう!
Step3.続けることが大事!小さな単位から始めよう!
実際に、実行する段階のお話しをしていこうと思います。
まず、初めからいきなり30分毎日運動しよう、ベジタリアンになろうとする極端な方が居ますが、それはやめておきましょう。続きません。
一番重要なことは続けることです。続けた結果、3ヶ月後にコレステロール値は大幅に改善します。
食事
まずは1週間、自分の食事メニューを記録につけてみると良いでしょう。
現状を認識することはとても大事です。というのも、ほとんどの方が自分の食生活は問題ないと思っているためです。残念ながら、何かしら問題があるからコレステロール値が高いのです。しっかり問題を認識しましょう。
その後、家族と相談したりしながら徐々に肉類や乳製品、卵などを減らし、食物繊維や植物ステロールの豊富な食べ物を増やしていきましょう!
運動
最初の1週間は、1日5分の運動で構いません。5分の運動じゃ何も変わらないじゃないか!とお思いではないでしょうか。確かに5分だけでは何も変わりません。
しかし、最初のうちは運動する時間よりも、毎日運動するという習慣をつけることのほうがはるかに重要です。ですので、5分で構いませんので、必ず毎日続けてください。
5分の運動に慣れてきたら、10分、20分と伸ばしていき、1ヶ月経った頃に30分の運動を続けることができるように慣れていくのが良いでしょう。
禁煙
私個人の意見としては、禁煙外来を利用するのが最善で最短だと思います。禁煙をしっかりサポートしてくれる薬と医師の力を借りるのが成功率が高いでしょう。
しかし、お金や時間がもったいないという方もいらっしゃるでしょう。そういった方はニコチンパッチやニコチンガムの力を借りつつ、禁煙を成功させましょう!3ヶ月続ければ禁煙は一生続く可能性が高いです。
サプリ・健康食品
サプリメントや健康食品に関しては、利用しなくてもかまいません。
しかし、生活習慣の改善と組み合わせることで、より効果的にコレステロール値を下げることができる可能性もあります。そのため、何が何でもコレステロール値を下げたい!と強い決意を持った場合は今日からでも利用していくのが良いかと思います。
おすすめとしてはトクホのえがおのコレステロールなどが良いでしょう
5.まとめ
コレステロールを下げる方法やモチベーションの保ち方などを詳しくお話ししてきました。
この記事を何度も読み込んで、実際の生活に取り入れていくと、コレステロール値は必ず下がります。健康な自分を取りもどすために、ぜひどんどん実践していきましょう!
忘れてしまったり確認したいことがあれば、またこの記事を読み返していただければ解決するかと思います。わからないことがあれば気軽にご質問・お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
この記事を読んで、コレステロール値が下がったというご報告を楽しみにしています
- 肉や卵、乳製品などコレステロール値の高い食品は避け、食物繊維や植物ステロールが豊富な野菜を食べる
- 毎日30分以上の有酸素運動を続ける
- 禁煙は確実に行おう!
- えがおのコレステロールなどの科学的に根拠のあるトクホを利用するのも一つの手段
- ゴールの設定とモチベーションの維持が成功の鍵!毎日10分は健康になった自分を鮮明に想像しよう
参考文献
医学論文
- 1)Usual care dietary practice, achievement and implications for medication in the management of hypercholesterolaemia. Data from the U.K. Lipid Clinics Programme.
- 2)Effects of diet and exercise in men and postmenopausal women with low levels of HDL cholesterol and high levels of LDL cholesterol.
- Effects of pravastatin in patients with serum total cholesterol levels from 5.2 to 7.8 mmol/liter (200 to 300 mg/dl) plus two additional atherosclerotic risk factors. The Pravastatin Multinational Study Group for Cardiac Risk Patients.
- Reduction in cardiovascular events during pravastatin therapy. Pooled analysis of clinical events of the Pravastatin Atherosclerosis Intervention Program.
医学書
- コレステロール-基礎から臨床へ-
- 動脈硬化性疾患予防のための 脂質異常症治療ガイド 2013年版