体型が気になる妊婦さん必見!妊娠中の体型変化について徹底解説

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「妊娠中は体型がどう変わるの?いつから変化するの?」「体型維持するにはどうしたらいいの?」

妊娠中は体型が大きく変化するため、不安を抱える妊婦さんは多いですよね。妊娠に伴って必要な体型変化なのに、太ったと勘違いされてしまうのは嫌ですよね。

そこで今回は、「妊婦さんの体型がどのように変化するのか?」という解説と、妊娠中の体型維持に役立つ運動や食事の注意点をお伝えします。

さらに、「産後の体型をどうやってもとに戻すか」についても紹介するので、全妊婦さん必見の記事です。

 

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1.妊婦の体型変化

1-1.妊婦はどういう体型になるのか?

お腹が全体的に大きくなり、それを支えるために少し背中が反ったような姿勢になります。また、授乳への準備として乳房も大きくなります。

妊娠末期の子宮は妊娠前と比べて、大きさにして約5倍です。したがって、お腹はかなり大きくなります。

大きくなったお腹は前にせり出してくるため、バランスが悪くなります。それを修正するために、背中が反ったような姿勢をとるようになるのです。

妊娠中の体の変化としては、下のイラストのようになります。

                                                                                                                                      引用:wcoal.jp

 

 

1-2.体型変化はどのくらいの時期から現れるか?

妊娠12週ごろにお腹の下の方から膨らみ始めます。膨らみはだんだんと胸の方へと及びます。

妊娠19週~妊娠23週(第5月末~第6月末)になると、お腹の膨らみがヘソの高さを越えてくるため、見た目に変化が現れてきます

妊娠24週~妊娠27週(第7月)ともなれば、お腹の膨らみがはっきりと目立つようになり、見た目で妊婦さんとわかります。

お腹の大きさの変化には、赤ちゃんの成長が主に影響しています。赤ちゃんの成長目安は以下の通りです。

時期赤ちゃんの身長赤ちゃんの体重
妊娠11週末約9cm約20g
妊娠15週末約16cm約100g
妊娠19週末約25cm約250g
妊娠23週末約30cm約650g
妊娠27週末約35cm約1000g
妊娠31週末約40cm約1500g
妊娠35週末約45cm約2000g
妊娠39週末約50cm約3000g

(参考文献:MEDIC MEDIA 病気がみえる vol.10 産科)

このように、赤ちゃんの成長スピードはとても速いです。お腹の大きさも日に日に変化していきます。

 

 

1-3.妊婦に体型変化が現れる理由

赤ちゃんの成長だけでなく、姿勢の変化体重増加が体型変化に大きく影響しています。

赤ちゃんが成長することで、子宮や骨盤が大きくなるだけでなく、産後の授乳に備えて乳房も大きくなります。そのため、お腹、胸が膨らみ、見た目が大きく変化するのです。

また、妊娠中は体調不良やお腹の重さからどうしても運動量が減ってしまいます。さらにはつわりが終わり、食べ過ぎの問題も重なると、体重増加に悩む妊婦さんも少なくありません。体重増加によって、体つきがふっくらするだけでなく、むくみで足が太く見えるなども体型に影響してしまいます。

妊娠中の体型変化は赤ちゃんを成長させるために必要な変化ではありますが、なるべくなら大きく変化させない方が産後も安心ですよね。それでは体型維持に役立つ方法を具体的に紹介していきます。

 

 

2.体型維持には運動を

2-1.妊婦が運動をすることのメリット

運動は体型維持や体重増加の予防だけでなく、日本臨床スポーツ医学会誌の妊婦スポーツの安全管理基準によると、妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群の予防にも役立つとされています。妊娠中も適度な運動を行い、筋力低下を防ぐことで、脂肪がつくのを抑えられ、体型維持に役立ちます

さらに、運動はうつ病の予防や治療として近年注目されています(日本うつ病学会治療ガイドラインより)。うつ病とは無縁と思っている妊婦さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、妊娠中や出産後などは慣れないことが多くてストレスがたまり、また女性ホルモンの大きな変化によって脳のストレスへの抵抗力が弱くなるので、女性が最もうつ病を発症しやすい期間ともいわれています(妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療より)。あらかじめ予防しておくことが大切なのです。

以上の理由より、担当医師の指導のもと、可能な範囲で運動することが望ましいです。

※妊娠糖尿病:妊娠中に妊婦さんの血糖値が高くなってしまう病気。これにより、流産、赤ちゃんの奇形、心臓の肥大などが起こります。

※妊娠高血圧症候群:妊娠中に血圧が高くなった状態。症状が重くなると妊婦さんに、けいれん、脳の出血、肝臓・腎臓の障害など様々な症状を起こします。また、赤ちゃんの成長障害、死産の原因となることもあるため、注意が必要です。

 

2-2.どのような運動をすればいいか?

ウォーキング水泳エアロビクスヨガなどがオススメです。これらは有酸素運動であるため脂肪燃焼効果があり、またきつさを自分で調節できるため妊婦さんが取り組みやすい運動です。

日本臨床スポーツ医学会によると、スポーツ種目の条件として以下のことが示されています。

1)有酸素運動、かつ全身運動で楽しく長続きするものであることが望ましい。
2)妊娠前から行っているスポーツについては、基本的には中止する必要はないが、運動強度は制限する必要がある。
3)競技性の高いもの、腹部に圧迫が加わるもの、瞬発性のもの、転倒の危険性があるもの、相手と接触したりするものは避ける。
4)妊娠16週以降では、仰臥位になるような運動は避ける。

仰臥位とは仰向けのことですが、妊婦が仰向け状態になると、仰臥位低血圧症候群を起こす危険があります。そのため、ヨガなどで仰向けになるような動きは避けなければなりません。

※仰臥位低血圧症候群 : 妊婦が仰臥位(仰向け)になった際に、拡大した子宮が血管を圧迫し、血液の流れが悪くなってしまうこと。これにより、ショック状態となり、脈が速くなる、吐き気がする、冷や汗をかく、顔が青白くなるなどの症状がでる。

運動環境としては、炎天下を避け、平坦な場所で運動することが求められます。炎天下では妊婦の体温上昇が激しく、赤ちゃんの奇形や脳障害を起こす危険があるから(妊婦スポーツの安全管理基準より)です。また、妊婦は転倒による胎盤剥離を防ぐ必要があるため、転倒リスクの少ない平坦な場所で運動することが望ましいです。

実施時間としては、午前10時~午後2時の間、週2~3回で1回あたり60分以内が良い(妊婦スポーツの安全管理基準より)とされています。午前10時~午後2時というのは、子宮収縮を起こしにくい時間帯とされています。この時間に運動を行うことで、子宮収縮による流産・早産や赤ちゃんの低酸素状態を予防します。また運動時間が長くなりすぎると、かえってストレスになってしまう可能性があるため、1回あたりの時間は60分以内がすすめられています。

妊娠中は、赤ちゃんをお腹の中で育てる大事な時期です。そのため、体型維持したいために無理はしすぎず、楽しんでできる範囲の運動を心がけてください!

 

2-3.運動をおすすめできない場合

担当医師に運動を禁止された場合や、体調がすぐれない場合は運動を控えておきましょう。

赤ちゃんの成長や、妊婦さんの体重や血圧の変化、採血データによっては運動を控えた方がいい場合もあります。運動をしたいと思っている場合は、まずは検診で医師に確認しましょう。

日本臨床スポーツ医学会では、妊婦さんがスポーツを行わない方がいい条件として、以下のものを提示しています。

絶対的禁忌(絶対に禁止)相対的禁忌(原則は禁止)
心疾患高血圧
破水貧血または他の血液疾患
早期の陣痛甲状腺疾患
多胎糖尿病
出血動悸または不整脈
前置胎盤妊娠末期の骨盤位
頸管無力症極端な肥満
3回以上の自然流産極端なやせ
 早産の既往
 子宮内発育遅延の既往
 妊娠中出血の既往
 極端に非活動的な生活習慣

※前置胎盤 : 胎盤が普通よりも低い位置にできるために、子宮の出口をふさいでしまう状態。大量出血のリスクがあり、正常分娩が困難であるため、ほぼ100%帝王切開となる。

※頸管無力症 : 子宮頸管の組織が弱くなり、開きやすくなっている状態。そのため、早産の原因となる。

こんなに多くの条件があるとよくわからないですよね…。なんとなく知っていただければ大丈夫です。最終的に、運動していいかどうかの判断は担当医師にゆだねましょう

 

3.ダイエットは注意!妊婦はバランスのとれた食事を

体重増加に悩む方で「糖質制限」を考えている方は要注意です。糖質制限により、赤ちゃんの脳への影響が考えられていたり、出生後の肥満や糖尿病のリスクとなる可能性があるとことがわかっています(第95回日本産婦人科医会記者懇談会資料より)。

糖質はエネルギーとしての役割が大きい栄養素です。特に赤ちゃんの脳はほとんどのエネルギーを糖質から得ています。そのため糖質が不足すると脳の発育障害が出てしまう可能性があるのです。

また、与えられる栄養が少ない環境で育った赤ちゃんは、少ないエネルギーでも生きていけるように適応します。そのため、生後の環境では栄養過多となり、成人期に生活習慣病を発症するリスクが高くなることが考えられています。

厚生労働省によると、妊婦の食事に関しては以下のようにバランスを整えることをすすめています。

・ 「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
・ 不足しがちなビタミン・ミネラルを、副菜でたっぷりと
・ からだづくりの基礎となる「主菜」は適量を
・ 牛乳・乳製品などの多様な食品を組み合わせて、カルシウムを十分に
・ 母乳育児も、バランスの良い食生活のなかで

このように、妊娠中はバランスの良い食事をとり、赤ちゃんに十分な栄養を与える必要があるのです。

また、妊娠中は必要なエネルギー摂取量も増えることも忘れないようにしてください。妊娠中にプラスで必要になるエネルギー量の目安は以下の通りです。

妊娠初期:+50kcal
妊娠中期:+250kcal
妊娠末期:+450kcal

赤ちゃんをお腹の中で育てていくためには、普段以上のエネルギー量が必要になります。ダイエットや糖質制限などを行うと、赤ちゃんへの栄養が不足してしまう危険もあるため、おすすめできません。

以上のように、妊娠中の食事は栄養面や量の面で気を付けるべきことが多くて大変ですよね。簡単なバランスの整え方、おすすめのレシピをこちらの記事で紹介しています。困ったときは参考にしてみてくださいね。

 

4.妊娠中は適正体重を保つことが大切

4-1.適正体重はどのくらい?

妊娠中の体重は、妊娠前からの体重増加量という形で推奨量が定められています。

厚生労働省の資料(妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に)によると、妊娠全期間を通しての体重増加に関する推奨量は以下の通りです。

体格妊娠全期間の体重増加量
やせ9~12kg
ふつう7~12kg
肥満個別指導

 

妊娠中の1週間あたりの体重増加に関する推奨量は以下の通りです。

体格1週間あたりの体重増加量
やせ0.3~0.5kg
ふつう0.3~0.5kg
肥満個別指導

 

※やせ、ふつう、肥満はBMI(体重/身長×身長)によって分類されています。

BMI 18.5未満:やせ
BMI 18.5以上25.0未満:ふつう
BMI 25.0以上:肥満

これを見てわかるように、体重増加が小さすぎても、大きすぎても良くないのです。妊娠期には、適切な体重増加が必要です。妊娠中の体重の大幅な変化は母子ともにリスクがあるので、特に1週間ごとの体重管理が大切になってきます。検診のときだけでなく、自宅でこまめに体重を確認しておくことで、大幅な増加を防ぐのにも役立ちますよ。

※これらの基準値はあくまでも推奨される増加量であるため、目安だと考えてください。妊婦さん各々の状態などを考慮する必要があるため、担当医師に「目安の体重増加量」を聞いてみましょう。

 

4-2.やせの場合のリスク

妊娠中の体重増加が不十分だった場合、早産赤ちゃんの発育不全や発達障害大人になってからの生活習慣病などのリスクが高まります。

最近は、妊娠中に体重を増やしたくないと考える妊婦さんが多く、それが原因で低体重の赤ちゃんが増えてしまっています。赤ちゃんの低体重は様々な合併症のリスクになるだけでなく、大人になった時の生活習慣病発症リスクを高める可能性もあります。

妊婦さんは体重を適切に増やし、赤ちゃんに十分な栄養を届けてあげましょう!

 

4-3.肥満の場合のリスク

妊娠前に妊婦さんが肥満(BMI 25.0以上)であった場合や、妊娠中の体重増加が大きすぎた場合、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群赤ちゃんの肥満帝王切開新生児仮死などのリスクが高まります。

妊娠糖尿病は先天異常、赤ちゃんの死亡、妊娠高血圧症候群などの原因になってしまいます。妊娠高血圧症候群になると、最悪の場合、妊婦さんの死亡につながってしまうことがあります。

このように妊娠中の体重増加が大きすぎると、妊婦さんにとっても赤ちゃんにとっても悪い影響が出てしまう可能性があります。そのため、体重を増やしすぎないことも大切です!

※新生児仮死 : 生まれた直後に新生児が呼吸、循環、神経などの不全となる状態で、多臓器障害や脳障害の原因となる。

 

 

5.産後の体型改善

運動とバランスのとれた食事で改善しましょう。

適度な運動をすること、食事を気を付けることは産後の体にとって好ましいことです。体型改善の効果があることは言うまでもありませんが、それ以外のメリットもあります。

運動は、産褥期に多い静脈血栓塞栓症や産後うつなどの病気予防に役立ちます。また、バランスのとれた食事は、赤ちゃんを母乳で育てるのに必須です。

ただ、出産後すぐの運動はおすすめしません。出産を終えてとても疲れていますので、ゆっくり休む必要があるからです。

体調が整ってくるころから少しずつ、軽い運動から始めていき、体型も少しずつ戻していけるようにしていきましょう。

とはいえ、赤ちゃんへの授乳や育児、家事をこなしているだけでも十分大変ですし、エネルギーをたくさん消費します。それだけで自然と痩せていく方も多いはずです。育児に慣れてきて余裕のある方は、室内でできるスクワットなど簡単な運動から始めてみてはいかがでしょうか。

※静脈血栓塞栓症 : 血管の中で血液が固まり、血管をふさいでしまう病気。肺の血管を防ぐ場合を肺血管塞栓症といい、妊産婦の死亡原因となる。

 

 

6.まとめ

今回は、妊婦の体型変化についての話題でした。

要点をまとめます。

妊娠中の体型変化のまとめ

  • お腹がかなり大きくなり、背中を反った姿勢になる 
  • 授乳に備えて乳房が大きくなる 
  • 妊婦はできる限り運動すべき 
  • 適切な体重増加が大切(1週間単位で管理) 
  • 妊娠中、産後はバランスのとれた食事を 

妊娠中は大きく体型が変化するため、元に戻るのか不安に感じる妊婦さんも多いですよね。

でも不安に感じすぎないでください。産後にバランスの整った食事、適度な運動を心がけている方は、妊娠前の体型に戻っている方がほとんどです。

ですから妊娠中はバランスのとれた食事を心がけ、赤ちゃんにしっかり栄養を届けられるようしっかりと栄養補給しましょう

そして、健康で元気な赤ちゃんを産んでくださいね。

 

参考文献

・ 妊産婦のための食生活指針 厚生労働省

・ 妊婦スポーツの安全管理基準 日本臨床スポーツ医学会

・ 日本うつ病学会治療ガイドライン

・ 妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療 厚生労働省

・ 第95回日本産婦人科医会記者懇談会資料

・ Wacoal からだの変化とマタニティインナー選び

・ MEDIC MEDIA 病気がみえる vol.10 産科(第4版)

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