妊婦が絶対にとりたい栄養は?妊婦におすすめの食べ物&レシピ8選

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妊娠中ってどんなものを食べたらいいのでしょうか。赤ちゃんにいいものや、栄養をしっかりとりたいけど、どんな食べ物を妊娠中にとったらいいかわからない…そんな悩みをもつ妊婦さんは多いかと思います。赤ちゃんが元気に育つために、必要な栄養はしっかりと補っておきたいですよね。

この記事では、妊娠中に必須の栄養がとれる、妊婦さんにおすすめの食べ物についてご紹介します。どうしてその食べ物がいいのか?という栄養面の解説や、「つわりのとき」「便秘のとき」など、お悩み解消に役立つ食べ物やレシピについてもお伝えしていきます。

 

 

妊婦さんに必要な栄養とおすすめの食べ物は? 

葉酸 

妊娠の1か月前~妊娠3か月目の方は葉酸の摂取が大切です。葉酸は細胞が増えるときに必要で、とくに赤ちゃんの細胞が盛んに増える妊娠初期には欠かせない栄養素です。

具体的には、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」の発症予防のために、通常の食事からの葉酸にプラスして、葉酸サプリメントを1日400μg摂取することが勧められています。(*1) 

神経管閉鎖障害とは、二分脊椎(にぶんせきつい:脊椎の形成不全)、無脳症などの先天障害のことです。妊娠初期は赤ちゃんの「神経管」という器官が作られる大切な時期です。この神経管から脳や脊髄(せきずい)といった中枢神経系が作られていくため、神経管の形成が上手くいかないと脳や脊髄の形成異常の原因となります。(*2)

葉酸のサプリメントを摂取することで、神経管閉鎖障害のリスクが減ることが数多くの研究でわかっています。(*1)神経管が作られるのは受胎後(妊娠成立後)の約28日間であり、妊娠がわかる時期よりも早いため、妊娠を希望している方や妊娠の可能性がある方も葉酸サプリメントの摂取が大切です。

 

葉酸はどうしてサプリから摂取するの?

葉酸を食べ物からでなく、サプリメントをとるように勧められているのには理由があります。それは、食べ物に含まれる葉酸の消化や吸収にばらつきがあり、神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、どの程度食べ物から葉酸をとったらいいかはっきりとわかっていないためです。

そのため、予防に有効といわれる量がはっきりわかっているサプリメントでの摂取が勧められているのです。(*3)

ただし、サプリメントをとっているからと言って食事からの葉酸をとらないで良いといいう訳ではありません。特に、妊娠中期~妊娠後期には葉酸の分解と排泄が進んでしまうという報告もあるため、妊娠期間を通して、食事からの葉酸摂取も240μg増やすことが勧められています。

 

以上をまとめると、

・妊娠期間は食事の葉酸を240μg増やすこと
・妊娠1か月前~妊娠3か月頃までは葉酸のサプリメントを400μgとること

を心がけましょう。

葉酸が含まれるおすすめの食べ物
焼きのり、ブロッコリー、枝豆、大豆、アスパラガス、ほうれん草…など

 

カルシウム

カルシウムは赤ちゃんの骨づくりなどに必要なため、積極的にとりましょう。

でも実は、妊娠中はカルシウムの吸収率が高まるため、基準値上はカルシウムの付加量はないのです。

ではなぜカルシウムを積極的にとる必要があるかというと、20~49歳の女性はカルシウム摂取量が大きく不足しており、基準値の6~7割ほどしかとれていないからです。(*4,5)もともと不足している可能性が大きいため、とくに妊娠中の時期は気を付けてカルシウムを補う必要があります。

不足しているカルシウム量は、牛乳コップ1杯で補える量です。牛乳は適度なエネルギーとタンパク質も補給できるため、必要エネルギー量が多くなる妊娠中はぜひとりたい食品です。

もし、牛乳などの乳製品をとれない方は、ひじきや煮干し、切干大根や野菜など、ほかの食べ物からカルシウムを補いましょう。

カルシウムが含まれるおすすめの食べ物
牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ、ひじき、煮干し、切干大根、ほうれん草、小松菜、大豆、納豆、豆腐…など

 

妊娠中は鉄の必要量が増え貧血になりやすいため、鉄をしっかり補給しましょう。

妊娠中の貧血による影響は、早産や出生時の大量出血のリスクを高めるという報告や、出産後も低出生体重児、赤ちゃんの貧血、母乳分泌不全などとも関連があると報告もあります。(*6)

鉄の必要量が増える理由として、

①赤ちゃんの鉄の貯蔵
②さい帯、胎盤への鉄の貯蔵
③妊婦さんの血液量が増え、赤血球が増えることでの鉄の需要の増加

があります。(*7)

鉄の推奨量
妊娠前(月経なし)妊娠初期妊娠中期~後期
6.5㎎妊娠前プラス2.5㎎ ⇒計9.0㎎妊娠前プラス9.5㎎ ⇒計16.0㎎

(日本人の食事摂取基準2020年版より作成)

妊婦検診で貧血や貧血気味と言われた場合、鉄剤などで治療が行われることもあります。ですが、普段の食事から貧血の予防を心がけておき、貧血を進行させないことが大切です。

鉄が含まれるおすすめの食べ物
あさり、牛肉、かつお、いわし、さば、卵、納豆、小松菜、ほうれん草…など

 

 

妊婦さんがとりたい栄養をとれるおすすめレシピ5選

妊婦さんがとりたい栄養が含まれるおすすめの食べ物を紹介しましたが、実際にどうやって食べるのが妊婦さんにはいいのでしょうか。管理栄養士が妊婦さんでも食べやすく、簡単に作れるレシピをご紹介します。

①「小松菜とあさりのカレースープ」

引用:レタスクラブ

鉄やカルシウム、葉酸が補給でき、カレー風味で食べやすい味付けのレシピです。

あさりは殻付きのものを使うのは大変、という方も、あさりの缶詰を使って簡単に調理することができます。あさりの缶詰を汁ごとスープに入れれば、あさりのうまみが溶けだしたおいしいスープができあがります。

詳しいレシピはこちら(リンク先:レタスクラブ)

 

②「ひじきと枝豆のツナマヨサラダ」

引用:クックパッド

ひじきの鉄とカルシウム、枝豆の葉酸とカルシウムがとれる一品です。

乾燥ひじきってどう使うんだろう?というイメージがありますよね。乾燥ひじきは水につけてから料理するだけでOKで、慣れてしまえば簡単です。

乾燥ひじきをボールに入れ、たっぷりの水を入れて15~30分ほど放置しておけばOK。そのあとはゆでたり、炒めたり、煮たりの調理をします。もしくは、缶詰コーナーに置いている「ひじきの水煮缶」を使うと、水につけておく手間が省けるので楽チンです。

ひじきは煮物のイメージが強いですが、このレシピのようにサラダとして食べてもおいしくいただけますよ。ひじきをレンジで加熱して、枝豆やツナ、マヨネーズと和えるだけの簡単レシピです。

詳しいレシピはこちら(リンク先:クックパッド)

 

③「ほうれん草と切干大根のツナポン和え」

『ほうれん草と切干大根のツナポン和え』【#作り置き】
 
困った時のあと一品に♪ 青菜た~っぷり♪ 切干大根た~っぷり♪ 身体に嬉しい食物繊維がた~っぷり♪ しかも!!! ポン酢と柚子胡椒が入っているので ツナの脂っぽさは感じられず、サッパリ食べれますよ( ´艸`)

 

カルシウム、鉄、葉酸がとれる、ほうれん草と切干大根を使ったレシピです。ピリ辛&さっぱり味なので、食欲がない時も食べやすいのでおすすめです。

切干大根も調理が大変、なイメージがありますが、水にもどしたらそのままサラダに使えます。乾燥した切干大根をボールにいれ、たっぷりの水につけて15分ほど放置し、そのあと水気を切って軽くしぼったらOKです。ぬるま湯につけると、さらに速く戻すことができますよ。

 

 

お悩み解消に役立つ!おすすめの食べ物&レシピ

妊娠中の体調の悩みはつきないものですよね。妊婦さんが抱えるお悩み別に、解消に役立つおすすめの食べ物とレシピを紹介します。

 

つわり

つわりで起こる胃のむかむかや吐き気。合う食べ物は人それぞれですが、「冷たいもの」「さっぱりしたもの」「果物」「塩気のあるもの」などが食べやすいようです。

冷たいものアイス、シャーベット、氷、凍らせたフルーツ、ゼリー、プリン…など
さっぱりしたもの酢の物、サンラータン麺、もずく酢、ポン酢、炭酸水…など
果物バナナ、りんご、キウイ、いちご、パイナップル、マンゴー、ブルーベリー、グレープフルーツ、すいか、ぶどう…など
塩気のあるものフライドポテト、梅干し、漬物、雑炊…など

 <つわり中に役立つおすすめレシピ>

「もずく納豆」

引用:クックパッド

さっぱりと食べられ、もずくと納豆の栄養をとることができます。もずくと納豆を混ぜるだけの簡単なレシピですが、ツルツルといくらでも食べられそうなさっぱり味です。

詳しいレシピはこちら(リンク先:クックパッド)

 

便秘

妊婦さんは便秘に悩む方が多いのではないでしょうか。便秘には、水分、食物繊維、乳酸菌、オリゴ糖をとりましょう。

妊婦さんが便秘になりやすいのは、妊娠中は黄体ホルモン(プロゲステロン)というホルモンの分泌が増え、この黄体ホルモンは、胃や腸の動きを妨げてしまう作用があるからです。さらに、子宮が大きくなることで腸が圧迫されることでも妊婦さんは便秘になりやすいことが知られています。(*8)

ホルモンやカラダの変化は対策するのが難しいのですが、食べ物を工夫して、少しでも便秘改善に役立てましょう。

便秘が気になる方におすすめの食べ物
野菜、果物、きのこ、海藻類、玄米、雑穀米、寒天、ヨーグルト、納豆、オリゴ糖シロップ

<便秘が気になる方におすすめレシピ>

「きのこの和風マリネ」

引用:クックパッド

きのこは食物繊維が含まれ、便秘解消に役立つうえに、ヘルシーなのが嬉しい食材です。こちらのレシピでは和風マリネにしてきのこを漬け込むだけなのですが、作り置きとして冷蔵庫に入れておくと、あと一品たりないときにも重宝しますよ。

詳しいレシピはこちら(リンク先:クックパッド)

 

貧血

妊婦さんの貧血の多くは、鉄が不足していることで起こる「鉄欠乏性貧血」です。鉄が不足しないよう、食べ物からしっかり補給しましょう。小松菜やほうれん草など、植物性の鉄は、ビタミンCと一緒にとることで吸収率が高まります。果物や生野菜などからビタミンCも意識してとるようにしましょう。

貧血が気になる方におすすめの食べ物
あさり、牛肉、かつお、いわし、さば、卵、納豆、小松菜、ほうれん草…など

<貧血が気になる方におすすめレシピ>

「オイルサーディンとしめじの和風パスタ」

引用:クックパッド

オイルサーディンはいわしの油漬けのことです。塩分も控えめなので妊娠中に取り入れやすい缶詰です。いわしには吸収率の高い動物性の鉄が含まれるため、妊娠中は積極的に取り入れましょう。

このパスタは手軽なランチにぴったりで、簡単に作ることが出来ますよ。

詳しいレシピはこちら(リンク先:クックパッド)

 

体重増加

妊婦さんの体重増加は、赤ちゃんが大きく育ちすぎてしまったり、妊娠高血圧症候群のリスクを高めてしまったりすることがわかっています。妊婦検診で体重増加を指摘される方も少なくないのではないでしょうか。

・甘いものがやめられない方はヘルシーなおやつに変える

・食事を食べすぎてしまう方はよく噛んで食べられる野菜(生野菜やごぼうなど)を取り入れる

・食事にきのこや海藻、野菜などヘルシー食材をたっぷり取り入れて腹持ちをよくする

・だらだらと食べてしまう方は食事とおやつの時間を決める

などの対策が必要です。

貧血が気になる方におすすめの食べ物&間食
きのこ類、海藻類、野菜、果物、ヨーグルト、寒天…など

<体重増加が気になる方におすすめレシピ>

「ミルクかんてん」

引用:クックパッド

寒天はカロリーが抑えられているうえに、食物繊維が含まれており、間食に取り入れるにはぴったりの食材です。牛乳でつくるミルクかんてんは、牛乳の栄養もとることができるので、栄養補給しながら間食を楽しめるレシピです。

詳しいレシピはこちら(リンク先:クックパッド)

 

むくみ

妊娠後期になるにつれ、血のめぐりが滞り、妊婦さんはむくんでしまいがちです。塩分のとり過ぎに注意し、塩分を排出してくれる働きがあるカリウムを取り入れましょう。また、むくみ対策には運動も大切ですよ。

むくみが気になる方におすすめの食べ物
ひじき、きなこ、納豆、里芋、さつま芋、じゃが芋、アボカド、バナナ、かぼちゃ、ブロッコリー…など

<むくみが気になる方におすすめレシピ>

「さつま芋のバター焼き」

引用:クックパッド

カリウムが含まれる芋類は、ビタミンCなどの栄養も一緒にとれるためおすすめです。さつま芋は甘さもあり、間食に取り入れやすいのがうれしいポイントです。焼いたり蒸したりしてそのまま食べても良いですし、こちらのレシピのようにバター焼きにするとバターの風味でさらにおいしくいただけますよ。

詳しいレシピはこちら(リンク先:クックパッド)

 

妊娠中はさまざまな身体の不調がありますが、食べ物が解決の手助けをしてくれることも多いものです。対策を知り不調を乗り切って、赤ちゃんに会える日を楽しみに妊婦生活を過ごしましょう。

 

【参考・参照】

(*1)厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版 水溶性ビタミン<https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586563.pdf>

(*2)大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 基礎生物学研究所 神経管をつくるには周囲の細胞の動きも重要<https://www.nibb.ac.jp/press/2012/03/5.html>

(*3)厚生労働省 eヘルスネット 葉酸とサプリメント 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果<https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html>

(*4)平成 30 年 国民健康・栄養調査結果の概要<https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000615383.pdf>

(*5)日本人の食事摂取基準2020年版 多量ミネラル<https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf>

(*6)小檜山 敦子ら 産褥1か月の貧血改善を妨げる影響要因 日本看護研究学会雑誌 Vol. 39 No. 1  2016<https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/39/1/39_20151026003/_pdf/-char/ja>

(*7)厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版 微量ミネラル<https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586568.pdf >

(*8)田中宏和 妊婦の生理学 日臨麻会誌Vol.38 No.4 533~537 2018<https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/38/4/38_533/_pdf/-char/ja>

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