家族が増えるという環境の変化の節目に、これからやってくる赤ちゃんや、一緒にくらす大切な家族のために、食事を見直したいと考えるプレママさんも多いのではないでしょうか?
私もそうでした。
しかしその一方で、最近では働く女性も増えていて、仕事から帰って家族のために毎日料理をするのが大変で、思うように食事がとれておらずこれからの健康や妊活・妊娠などを不安に思っている女性は多くいらっしゃると思います。
「赤ちゃんのため、家族のために、今の食生活を見直したいけどどう見直したらいいの?」
「妊娠中も働きながら、それなりに健康を気遣った食事を作りたいけど、何に気を付けたらいいの?」
なんとなく気にしながらも忙しい毎日に紛れて、考えるのは後回しになることもしばしば・・・。
しかし、食事を見直すならば“今”です。
もし、今の食生活に問題があって何年後かに
“あのとき食事をきちんと見直しておけばよかった”
そう思う出来事が起こってからでは遅いですよね。
若いときからコツコツ、子供が生まれる前からコツコツ、家族の健康に役立つ知識を習得し積み重ねておくことはとても大切です。
この記事では「正しい知識で食事を選ぶ大切さ」についてお伝えしていきます。
家族の健康を食で守るということ
食って健康を作るためにほんとに大切で重要です。食べたもので人の体はつくられます。もちろん、お腹の中の赤ちゃんもママの食べたものから栄養をもらってすくすく育っていくのです。
赤ちゃんはお腹の中にいるときから生まれて大きくなるまでは、自分で食べるものを用意できません。ママから与えられるものを食べることしかできないのです。
ママが正しい知識を持って赤ちゃんに食事を与えることは、赤ちゃんの成長やその後の人生の食習慣に大きなメリットがあるでしょう。
また、健康を考えた良い食事は、赤ちゃんだけでなく、ママを含む家族みんなの健康を守ることにも繋がります。
薬じゃ直せない病気がある?
実は、こんなに医療が発達していても、生活習慣病の中には薬じゃ直せない病気があります。
例えば、糖尿病には病気を治す薬が存在しません。糖尿病になると、一生その病気と付き合っていくことになります。
薬で血糖をコントロールする場合もありますが、まず始めに重視されるのが“食の力”なのです。
食事を改善すれば血糖値をコントロールすることができるのです。
病気になる前から、病気になりにくい食事や食生活を送っていれば、その人は糖尿病にはならなかったかもしれません。
小さいときからの積み重ねが、大人になっての食生活に影響することがあるのです。
これからお子さんを育てるのに、お母さんが正しい食の知識を身につけ、それをお子様に教えてあげることはとても大切です。それはお子様の一生を守ることに繋ります。
食は一生の宝
きちんとした健康的な食事は病気を予防でき、一生の健康につながると考えています。食事だけでは太刀打ちできない病気もありますが、食事を改善することで予防できる病気もたくさんあります。
プレママであるママの準備期間は、出産してからの生活に比べると、気持ち的にも時間的にも余裕があります。
環境の変化に伴い食への意識が高まる“今”をチャンスととらえて食事の見直しをおこない、「生活習慣病の発症の予防を意識した食の知識を」身につけていきましょう。
このタイミングで得られた知識は、これからの人生のなかでもずっとママご自身やご家族の健康の支えになってくれるはずです。忙しくて大変な毎日の中で、どんなことに気を付けて意識すれば健康に近づけるのか知っておくだけで食の取捨選択の内容が変わってきます。
偏った食事と生活習慣病の関係
下記のことにあてはまることがあれば、一度ご自身やご家族の食事について見直しましょう。
︎✅ 醤油を使う料理を毎日している
✅ 早食いである
︎︎✅ 脂っぽいものが好き
︎︎✅ 調味料の量などあまり気にしない
︎︎✅ 野菜やお肉の量はあまり気にしない
︎︎✅ 甘いお菓子を常に常備している
︎︎✅ 外食やコンビニ食が多い
上記のような、偏った食事や食べたいものを欲しい分だけ食べてしまう食生活は、以下のような生活習慣病のリスクを高めます。
糖尿病
今や成人の12%(8~9人に1人)が糖尿病を患っている(*1)といわれています。
糖尿病の患者数は、戦後の日本人の食の欧米化による脂質の摂取量の増加(*2)と関係があるのではないかと示唆されています。戦後から75年間で、エネルギーに占める脂質の含有量は約4倍増え、糖尿病患者数(*3)も爆発的に増えました。
脂質は、1gあたり9キロカロリーと、炭水化物(1gあたり4キロカロリー)やたんぱく質(1gあたり4キロカロリー)よりも高カロリーな栄養素であり、脂質の食べる量が増えるとそれに伴い、また、摂取カロリーも増えやすくなり、肥満症の原因になることがあります。
肥満症になると、糖尿病の発症リスクは2.6倍(*4)になる研究結果があります。
周りを取り巻く環境の変化に影響されるのではなく、自分で食材を選ぶ力を身につけておくことで、そのようなリスクを回避することができます。
高血圧
日本人の3人に1人は高血圧といわれています。日本人は世界的に見ても1日当たりの塩分摂取量が多く、いかに食生活の中で塩分を抑えれるかが重要になるといわれています。
令和元年に実施した、国民健康栄養調査では、我が国の食塩摂取量の平均値は9.9ℊ/日(*5)でした。しかしながら、ある臨床試験によると,6g/日前半まで食塩摂取量を落とさなければ血圧の有意な降圧は達成できていないという結果(*6)があります。日々の食事の中で減塩の心掛け、その技術を身につけることが大切になります。
また、幼少期の減塩は長期的にみて血圧上昇を抑制する可能性がある(*6)ことが報告されていて、食習慣の確立の意味においても幼児や小児に対する教育・指導が重要です。そのために、ママも正しい知識を準備しておく必要があります。
がん
2人に1人ががんにかかるといわれる時代。がんの中には食習慣も影響するものがあります。
塩分のとりすぎ、果物や野菜を摂らない、などの食生活はがんのリスクに繋がる(*7)と考えられます。
例えば、調査対象グループを食塩摂取量別に5つのグループにわけ、胃がんの発症との関係を調査した結果、食塩摂取量が最も少ないグループに比べ、最も摂取量が多いグループは胃がんの発症率が2倍も多い結果(*8)が報告されています。
このような生活習慣病の予防を意識した食の知識を持っていただけるように
プレママのあなたも「食育」を学ぶ必要があります。
食育を学ぶと何が変わるのか?
正しい知識をもって調理をすると、
例えば、子供に人気のハンバーグでは、通常の脂質量の約半分をカットすることが可能です。
ハンバーグに使われるひき肉は意外に脂質が他の部位よりも多く、重量の約20%が脂質で構成されています。
仮に、ハンバーグを作るその日、高カロリーな食事が続いていて、カロリーをちょっとひかえたいとしましょう。
そんな時は、ひき肉の量を減らして、代わりに玉ねぎなどの具材の重をふやし、さらにパン粉の代わりに、きのこのみじん切りをいれることで脂質が減り、具材の野菜が増えるのでカロリーをコントロールしやすくなります。
この場合、通常のレシピでは1人あたり150ℊほどのひき肉が必要ですが、食育の知識を活かすことで、ひき肉80ℊ/人でおいしいハンバーグが作れます。
また、脂質の多いひき肉を減らしたことで、ひき肉に含まれていた”たんぱく質摂取量”も減ってしまうと考えられるため、足りないたんぱく質を補う必要性があります。
その場合、副菜に、低脂質、高たんぱく質である豆腐を取り入れることで食事バランスをさらに改善することができます。
さらに、ハンバーグは、味付けは塩コショウだけでも充分おいしいものであること、食べるときにハンバーグの上にかけるケチャップは、ほとんど塩分が入っていないこと。
これを知っているだけでも、「塩分を控えられるのに美味しいメインディッシュ」を考えることが出来ます。
このような考え方をするためには、食事と生活習慣病の危険性の関係を理解し、何を取り入れて何をひかえるべきか理解している必要があります。
そして知識があることで毎日の食事バランスを調整しようと考えが働き、どのように調整すればいいかアウトプットされます。
過剰に摂りすぎるとよくない食材(例えば塩分)をうまく控えながら、必要な栄養素は美味しく、全体の栄養バランスをうまく調整できる食事管理は食育を学ぶことにより実践できるようになるのです。
また、食育からは技術的な知識も学ぶことが出来ます。
たとえば、「減塩レシピ」のように、レシピというのは、塩分を落としても美味しさを補うように、別の食材の味でカバーしたり、さきほどハンバーグの事例を挙げたように、脂質の少ない材料選びをしても満足感を満たすように調理法を工夫できるようになります。
特にプレママの方々はそうした知識が必要なのに、忙しさや経験値の浅さから知るチャンスが無い方も多いんじゃないでしょうか。
忙しさに紛れて、好きなものを好きなだけ食べる習慣がついてしまうと、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になりやすい危険性があります。
家族のこれからのためにも、賢く食べ物を選ぶ力が必要となりますね。
健康づくりのための日常のちょっとした意識の積み重ね
「調理するとき、今使った大さじ1の醤油に塩分がどれくらい含まれていたか、考えたことありますか?」
「今日食べた野菜の量が、だいたい何グラムだったか、なんとなく想像できますか?」
控えるべき栄養素を意識したり意識してとるべき食材の知識があることで、今の食生活に何が必要で何が問題なのか、何となくでも意識できるようになります。
知らなかったら何も気にしないまま通り過ぎることも、正しい知識を知ってることで、食事に関して意識できることが増えて行動や選択肢が変わってきます。
生活習慣病は、長年の積み重ねによって引き起こされることがほとんど。
なんとなくでも、今の自分の食事がどういう傾向にあって、これからどう調整していくべきなのかを考え、手に取る食材を選べる力が大切です。
そうすることで、家族みんなの健康を守ることに繋がります。
もちろん、病気は食事だけが原因というわけではありません。ストレスや遺伝的なもの、生活習慣や周りの環境なども原因になります。
しかし、食事が大きな要因となって起こる生活習慣病などは、食事をきちんと整えることでリスクを下げることにつながります。
食事を見直す絶好のタイミングは?
家族が増えるタイミングが食事を見直す絶好のチャンスだと考えています。
私も結婚するまでは、仕事でヘトヘトで帰ってきて、そこから自分一人のために、しっかりとした食事をつくるのは大変でしたし、できない日が多かったです。
結婚し、主人という家族が増え、妊活を考える中で、主人や私の中に宿ろうとしている赤ちゃんは私の作った料理や食べたもので生きていくことになる。
主人が健康でいれるように、赤ちゃんをいつでも迎えてあげれるように、食生活を見直そうと強く思いました。
多くの家庭で私のように、主な調理者は女性の場合が多いと思います。調理者であるママが、生活習慣病の発症の予防を意識した食の知識を持って食事の支度や買い物ができることは家族の健康を支えることに繋がります。
まとめ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
毎日の食事の中で、健康を維持するために何を食べて何を控えるべきか?
食べる分量や目安を知り、意識して食材を選べるようになる『気づきの食育』はとても大切です。
今日作る料理の味付けはどれくらいの調味料を入れるといいのか?など考えながら調理できるようにお伝えしていきます。
是非、楽しく学んで実践して、健康に繋がる食卓を家族で囲んでください。
これからもプレママさんに向けた、ご自身(妊婦さん)やご家族の健康に立つような食と健康に関する豆知識や妊婦さんに役立つ情報などを少しずつ配信できればと思います。
これからも楽しみにしていてくださいね。
よろしければ、こちらのYouTube動画から
プレママのための食育をお伝えしていますので参考にされてください。
・葉酸たっぷりの妊婦さん向け定食
https://youtu.be/IAmlxXvA6Fc
・妊活・妊婦さんにおすすめ!あじの南蛮漬け定食
https://youtu.be/yEuTByNdAI0
【参考文献】
(*2)厚生労働省 日本人の食事をめぐる状況と「健康な食事」のあり方-表4
(*8)国立がん研究センター 食塩・塩蔵食品摂取と胃がんとの関連について