胆嚢摘出と手術後の生活を正しく知り不安を解消しよう!

胆嚢摘出
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胆嚢摘出はどういう手術をするのか、手術後の生活はどのようになるのか不安にお思いではないでしょうか。

胆石による痛みはとても辛いものですが、いざ手術となると尻込みしてしまうものですよね。

実は、胆嚢摘出は胆石による痛みをなくす比較的安全な手術で、手術後も日常生活に大きな影響を与えません。

正しい知識を持ってもらい、手術を受けるか判断してもらうため、この記事では胆嚢摘出について医学書や研究を基に簡潔にまとめました。

ぜひ、胆嚢摘出についてしっかりと知り、不安を解消しましょう。

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1.胆嚢摘出術とは

胆嚢の中にできた胆石による痛みが続く場合に、痛みを根治するために胆嚢ごと取り出す手術です。

メリットとしては、つらい胆石による痛みから解放されることです。

しかし、デメリットもあります。比較的安全な手術ですが、3~5%ほどの合併症の危険性があります。そのうち、深刻なものは0.01%以下です。合併症については3.胆嚢摘出の後遺症・合併症で詳しく説明しています。

また、胆嚢摘出することで、からだと生活にどういう影響があるのかについては4.胆嚢摘出後の生活でまとめました。

胆嚢摘出術は、つらい胆石による痛みを根治させる比較的安全な手術です。次の項では、詳しく手術の種類や安全性などについて説明していきます。

2.胆嚢摘出手術の種類と特徴

胆嚢摘出手術は大きく分けて

  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術
  • 開腹胆嚢摘出術

の二つがあります。

胆嚢摘出術の種類

今ではほとんどの場合、「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を行います。傷の痛みや体への負担が少なく、手術後の回復が早いことが、研究により明らかになっているからです。1) 2) 3)

高度の炎症や、癒着(ゆちゃく:おなかの中の組織や臓器がくっついていること)などにより、腹腔鏡下胆嚢摘出術が難しい場合・胆嚢がんを合併している恐れがある場合のみ、開腹胆嚢摘出術は行われます。

2-1.腹腔鏡下胆嚢摘出術

腹腔鏡下胆嚢摘出術は、お腹に開けた穴から、カメラや手術用の器械を腹腔内に入れ、テレビモニターに映った画像で手術する方法です。

メリット
  1. 手術の傷口が小さく、目立ちにくい
  2. 傷が小さいため、体への負担が少なく、痛みが少ない
  3. 手術後早い段階で飲食できる
  4. 入院期間が2、3日と短く、早く社会復帰ができる
デメリット
  1. 手術の術野が小さいため、カメラで見えないところで臓器を傷つけることがある。
  2. 腹腔鏡による手術が難しいと判断された場合、途中から開腹手術へと変わることがある。
  3. 3~5%ほどの合併症が起こる可能性がある
費用

15万〜18万(3割負担の保険適用)
※入院施設や処置内容により異なるので目安程度に

入院期間

合併症が起こらなければ2〜3日で退院可能です。
※入院機関は施設によって異なります。

比較的安全な手術ですが、3~5%ほど手術により出血や胆管を傷つけるなどの合併症が起こります。深刻な事態になることは非常に稀で0.01%以下です。

傷が1ヶ所の腹腔鏡下胆嚢摘出術

通常の腹腔鏡下胆嚢摘出術では、おなかの4ヶ所に穴をあけます。しかし最近では、穴を1つしか開けない「単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術」を行う医療機関が増えてきました。

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は、手術の跡がほとんどわからないのが特徴です。実際の手術後の写真が以下の画像です。

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術

私の意見としては、見た目のことを考えると、単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の方が良いのではないかと思います。

体にあける穴が一つしかないため、手術が難しくなり、合併症が増えるのではないかと危惧されています。しかし、360例の単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症を、671日追跡調査した結果、通常の腹腔鏡下手術と合併症のリスクは有意な差がないことが最近の研究により明らかになりました。4)そのため、外科医がしっかりと訓練を積んでいる医療機関では、安全と言えるでしょう。

手術の痛みについて

手術中は基本的に全身麻酔下ですので、痛みはありません。

手術後は、傷口に多少の痛みがありますが、多くの場合退院時には改善しています。

2-2.開腹胆嚢摘出術

開腹胆嚢摘出術では、お腹を切り開き手術します。

ほんの一部の症例を除き、通常はこの手術は行われません。しかし、手術中の所見によっては、腹腔鏡下胆嚢摘出術から開腹胆嚢摘出術に途中から変更することがあります。

  • 炎症や癒着がひどい場合
  • 胆管や他の臓器が傷ついた場合
  • 手術中の出血が多く、止血が難しい場合

これら腹腔鏡下胆嚢摘出術では難しい場合は、開腹胆嚢摘出術が行われます。

あくまで難しい例を治療する際の手術の方法だとご理解いただけると幸いです。

3.胆嚢摘出の後遺症・合併症

胆嚢摘出術は、後遺症や合併症のリスクの低い手術です。

日本消化器病学会の「胆石症診療ガイドライン」によると、1990年から2005年までの254,205例の手術において、合併症が起こったのは5%ほど(10,321例)と報告されています。そのうち重大なものは0.01%以下(22例)であったことが報告されています。

これらのことを踏まえると、比較的安全な手術と言えるでしょう。

胆嚢摘出術の合併症は手術中の合併症と手術が終わったあとの後遺症に分けられます。

手術中の合併症 手術後の後遺症
  • 出血
  • 胆管の損傷
  • 腹腔内に胆石が落ちてしまう

など。

多くの場合、炎症が強い胆石や癒着がひどい症例で起こります。

  • 出血
  • 胆汁が漏れ出る
  • 傷口からの感染
  • 肩こりに似た肩の痛み
  • 脂っこい食事を摂取することにより下痢が起こりやすくなる

肩の痛みや下痢は、3ヶ月ほどすれば、多くの場合改善されます。

退院後は、基本的には普通に生活していれば問題ありません。

手術後になんらかの症状が出た場合は、必ず医療機関を受診するようにしましょう。放っておくと悪化するものもあります。 

4.胆嚢摘出後の生活

胆嚢を摘出した後、生活面でどういう変化があるのか気になる方は多いでしょう。

結論からいうと、手術前とほとんど変わりはありません

胆嚢は胆汁をたくわえるための臓器であるため、手術により胆汁をたくわえることができなくなります。しかし、胆汁は肝臓から問題なく生成されるため、生活に大きな影響はありません。

食事に注意することが必要な可能性が指摘されていますが、それ以外は健康な生活を送ることができるでしょう。

4-1.胆嚢摘出後の食事

基本的には手術前と同じ食生活で問題ありません。

しかし、一部の人で下痢などになりやすい人がいます。そういう人では胆嚢を摘出後は脂肪分の多い食事は避けましょう。(卵やバター、脂身の多い肉、天ぷらなど)

というのも、胆嚢は胆汁をたくわえる臓器で、取り除くと胆汁をたくわえることができなくなります。胆汁は油脂を分解する働きがあります。胆汁をたくえられないということは、油っぽい脂肪分を分解する能力がおちるということです。

これにより、油っぽい食事を食べた翌日などに下痢に悩まされたりします。しかし、この下痢の症状も、3ヶ月ほどしたら落ち着くということが報告されています。長く続く場合は主治医に相談してみましょう。

4-2.胆石を再発させないために普段からできること

胆石ができる要素については様々な理由がありますが、普段から気をつけることができることもあります。

  • 急激なダイエット
  • 食生活

これらに気をつけると良いでしょう。ただし、食生活に関しては研究のレベルが低いため、あまり大きな影響はない可能性があります。

急激なダイエット

急激に体重が減ると、胆石形成のリスクが上がるということが信頼性の高い研究により指摘されています。5)

胆石の予防のためにも、急激なダイエットは避けましょう。

食生活

胆石を予防する食事に関しては、まだはっきりとしたことはわかっていないのが現状です。というのも、論文を調べたところ信頼性の高い十分な研究が行われていないからです。

食生活については、あくまで目安程度にして気をつけるのが良いでしょう。

胆石のリスクを上げる食事
  • 炭水化物、糖質が多すぎる場合
  • 動物性脂肪の過剰摂取
胆石のリスクを下げる食事
  • 果物
  • 野菜
  • ナッツ
  • サバやサンマなどに含まれる多価不飽和脂肪酸
  • 大豆など植物性のタンパク質
  • 食物繊維
  • カフェイン

4-3.何かしらの症状が現れたらすぐに病院へ

退院後に傷が赤く腫れたり、液体(透明や膿のように黄色いもの)がでたり、また手術後、数ヶ月経ってから感染症がおきたりすることがあります。

何か症状が現れた場合はすぐに病院を受診するようにしましょう。

5.胆嚢摘出のポイント

これまで、胆嚢摘出の手術の方法や特徴、手術後の生活などについて説明してきました。

改めて簡単にポイントだけまとめたいと思います。

胆嚢摘出のポイント

  • 胆嚢摘出手術は、胆石による痛みなどの症状をなくすための比較的安全な手術
  • 最近では単孔式胆嚢摘出手術が、美容面ですぐれているためおすすめ
  • 合併症は3~5%ほどで、重大なものは0.01%以下
  • 手術後の生活は手術前とほとんど変わりなし(脂肪分の多い食事は避けたほうが良い)
  • 胆石の再発予防のために急激なダイエットは避け、食生活を整えるのが良い。
  • 手術後になんらかの症状が現れたらすぐに病院へ

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記事監修

佐藤典宏医師

所属

産業医科大学 第一外科 院内講師 

専門分野

消化器外科 肝胆膵外科 がんの分子生物学

参考文献

胆石症診療ガイドライン:日本消化器病学会

1)Randomised controlled trial of laparoscopic versus mini cholecystectomy

2)A prospective comparison of laparoscopic versus open cholecystectomy.

3)Laparoscopic or Open Cholecystectomy: A Prospective Randomised Trial to Compare Postoperative Pain, Pulmonary Function, and Stress Response

4)Postoperative complications following single-incision laparoscopic cholecystectomy: a retrospective analysis in 360 consecutive patients.

5)Gallstones in patients with morbid obesity. Relationship to body weight, weight loss and gallbladder bile cholesterol solubility.

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