アロエは健康に良いと言われていますが、実際にどんな効果があるのか知りたい方は多いのではないでしょうか。
インターネット上ではアロエの効果に関して様々な情報があふれており、どれが正しいのかわからない状態にあります。また、中には売るためだけの怪しげな情報も混じっています。
そこで、私たち医大生のグループでアロエの効果に関する医学論文を調べ上げ、正しいアロエの効果について簡単にまとめました。
この記事を読んで正しいアロエの効果を知り、よりよくあなたの生活に活用して欲しく思います。そして、怪しげな商品に騙されないようにしましょう。
目次
1.アロエの正しい効果って?
この項目ではアロエの効果に関して科学的な根拠のあるものについて説明しています。
アロエの効果に関して、インターネットで調べてみると20以上の効果が謳われています。しかし、実際に効果の可能性が科学的に指摘されているものは4つだけでした。(あまりにも少人数で効果があったとする実験は根拠として認めませんでした。)
正しいアロエの効果についてしっかりと知り、健康のために利用しましょう。
1-1.科学的に示されているアロエの効果
医学論文などで効果の可能性が指摘されていたのは以下の4つだけでした。
- 便秘
- かゆみのある発疹
- ヘルペス
- 乾癬
便秘について
アロエを食べることでは強力な下剤効果があるとして、ドイツの薬用植物評議会等で認められています。また、便秘の程度を改善することも指摘されています。
とはいうものの、長期にわたる摂取はオススメしません。命に関わる副作用を引き起こす可能性が考えられています。副作用に関しては2-3.一般的に注意したい副作用で説明しました。
便秘の改善の場合は8~10日程度にとどめておき、ひと月単位で利用しないようにしましょう。便秘をなんとかするために、命に関わる副作用のリスクを背負うのは割に合わないように思います。
かゆみのある発疹について
アロエゲルを1日2回、8週間発疹の部分に塗ると発疹の痛みが軽減したという報告があります。
あくまで、塗ることで改善したという結果です。アロエを食べることで発疹などが治るとする意見もありますが、それに関しては科学的な根拠が見当たりませんでした。
発疹の改善を目的とする場合はアロエの塗り薬等を利用するのが良いでしょう。数ヶ月たっても治らない場合は皮膚科に行くことを強くおすすめします。
ヘルペスについて
アロエクリームをヘルペス部位に塗ることで、ヘルペスが治癒する可能性があります。
アロエ抽出物5%のクリームを1日3回塗ることで、男性でのヘルペスの治癒率が増したという研究結果がありました。
ただし、女性での研究結果はありませんでした。そのため、女性でも効果があると科学的に言うことはできません。とはいうものの、私の意見としては、女性でも効果の可能性があると思います。
乾癬について
アロエクリームを塗ることで、乾癬の皮膚の斑点が減るようです。
濃度0.5%のアロエクリームを4〜8週間塗ることで、皮膚の斑点を減少させ、重症度を軽減したという報告がされています。
ただし、皮膚が赤くなったり等の、乾癬の他の症状を改善はしなかったようです。
1-2.一般に言われているけれど、効果がない可能性が高いアロエの効果について
一般に言われているものの、効果がない可能性が高いものは数多くあります。その中でも良く宣伝されている以下の4つについてこの項目では説明します。
- 育毛
- ヤケド
- 美肌
- 整腸効果
その他の効果がないものに関しては、1-3.効果があるもの、ないもの一覧シートでまとめてありますので参考にしてください。
育毛効果について
アロエに育毛効果があるということに関して、科学的な実験は一つもありませんでした。また、メカニズムから考えても効果がない可能性が非常に高いです。
育毛のためには男性ホルモンを抑える、あるいは毛母細胞の活性化が現代の医学では考えられています。育毛の研究は非常に数多くされていますが、毛母細胞の活性化にはミノキシジル、男性ホルモン抑制による育毛にはフェナステリド以外見つかっておりません。
おそらく、アロエが湿疹にいいなどという事実から、肌にいいんだし育毛にもいいはずだ、という根拠のない推論が生まれたのかと思います。湿疹の治癒と育毛には全くもって関係するメカニズムはありません。
育毛のためにアロエを利用しないほうが良いように思います。
ヤケドについて
アロエはかつてヤケドに効果的と言われてきました。しかしながら最近の研究では、アロエを毎日利用した場合でも治療の速度は変わらなかったということが報告されています。
ヤケドに関しては素直に皮膚科を受診するのが何よりではないかと思います。
美肌効果について
アロエを含む化粧品を使ったからといって美肌になるという根拠は全くありません。
特に美白目的では、メカニズムから考えても、効果がない可能性が非常に高いように思います。保湿目的に関しては、まだ可能性があるように思います。
美白を目的とする場合は、メラニンなどの色素沈着を取り除く必要があります。アロエでは発疹などを改善することが挙げられていますが、それらのメカニズムと色素を取り除くメカニズムは大きく異なります。美白目的でのアロエの利用は効果がないように思います。
使う場合は、保湿目的での美肌効果に限定するほうが良いでしょう。
整腸効果について
アロエは腸の調子を整えるという意見もありますが、下剤として利用できることを考えると悪化する可能性が高いです。
下剤効果は腸に対して刺激効果があるもので起こります。そのような成分で腸の調子を整えるというのは考えにくいです。整腸効果をうたっているものに関しては慎重になるべきであるように思います。
1-3.効果があるもの、ないもの一覧シート
効果の可能性が指摘されているもの |
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おそらく効果がないもの |
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2.アロエの正しい活用法
アロエを利用するにあたって間違った利用法をしていては効果が出ません。それどころか重大な副作用さえ引き起こす可能性があります。
ここでは用途別の活用法と安全性に関して解説しました。
これらを知り、安全かつ効果的にアロエを利用しましょう。
2-1.用途に合わせてアロエを有効活用しよう
便秘の場合
便秘の方がアロエを食べる場合、気をつけるべきポイントが3つあります。
- 食生活による改善を目標とすること
- 1回で大量に食べないこと
- 長期間利用しないこと
アロエで便秘は根本的に改善できるわけではありません。便秘の改善は食生活と生活習慣の改善無くしてありえません。そのため、アロエを使うのと同時に規則正しい生活と食生活を心がけましょう。
便秘になるたびにアロエを使えば良いじゃないかとお思いかもしれません。しかし、アロエによる便秘の改善は中毒性があることが指摘されており、腎臓を悪くしてしまうことが指摘されています。命に関わるケースもありますので、頼りすぎないようにしましょう。
発疹の場合
発疹の場合、塗り薬を1日2回塗るのが良いでしょう。実験によると、大体8週間で改善が見られるようです。
ヘルペスの場合
アロエ抽出物5%のクリームを1日3回塗るようにしましょう。
乾癬の場合
濃度0.5%のアロエクリームを4〜8週間塗りましょう。
ただし、皮膚の斑点などは軽減するものの、皮膚の赤みなどは改善しないので注意しましょう。
2-2.アロエを使うことで重大な副作用を引き起こす人がいます
以下の人ではアロエを使うべきではありません。自分がそれに該当しないかチェックしましょう。
- 12歳以下の小児
- 妊娠時、月経時
- 授乳中
- 腸閉塞
- 虫垂炎
- 大腸炎
- クローン病
- 過敏性大腸症候群
- 腎臓障害
これらに該当する場合は、子供に重大な副作用を与える、あるいは病気を悪化させる可能性が非常に高いです。最悪のケースでは命に関わります。
上記に該当する場合はアロエを利用しないようにしましょう。目先の健康問題を改善しようとした結果、一生を損なうことになりかねません。
2-3.一般的に注意したい副作用
食べる場合
基本的に食べる際には8~10日以内にしましょう。それを超えると以下の副作用が出やすくなります。
- 腎臓障害
- 下痢(血便)
- 低カリウム血症
- アルブミン尿症
- 血尿
- 筋力低下
これらをみても、どう危険なのかわからないかもしれません。これらの副作用によって、腎臓が障害され腎臓が働かなくなる恐れがあります。その結果、死につながることもあります。
必ず用量用法を守りましょう。また、これらの症状が見られた場合はすぐにアロエの摂取を中止し、病院に行きましょう。
皮膚に塗る場合
皮膚に塗る場合は副作用は多くありません。
- 皮膚の赤み
- 皮膚のかゆみ
これらの症状が現れたらアロエの利用を中止しましょう。
2-4.自宅で栽培したアロエを食べるのはオススメしません
自宅で栽培したアロエを食べるのは私はお勧めしません。
というのも、アロエは副作用の非常に強い成分だからです。1日1gを摂取することを数日続けると致死量であることが報告されています。
自己責任であるとはいえ、自己判断でそのような危険な成分を扱うのおすすめしません。
3.まとめ
これまでアロエの正しい効果と安全な活用法についてまとめてきました。
アロエは使い方を間違えると非常に危険です。正しい使い方を知り、生活に取り入れてあなたのお悩みが解決することを願っています。
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