アルギニンは身長を伸ばす効果があると言われています。実際に低身長の治療ではアルギニンの注射を利用されています。しかし、サプリメントでは本当にそうなのでしょうか。
実は医学論文を調べてみると、アルギニンのサプリは身長を伸ばすという科学的根拠はありません。アルギニンサプリを摂取すると身長が伸びる、というのはメーカーの誇大広告の可能性が高いと私は思います。そのようなものにお金を浪費しないほうがいいのではないでしょうか。
科学的根拠はないものの、効果を信じてアルギニンを試してみたいという方もいるかと思います。そういう方のために、注意すべきポイントを当記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
当記事を読んでアルギニンに対して正しい情報を知り、あなた自身の生活に取り入れるか判断して欲しく思います。
1.アルギニンは身長を伸ばすという科学的根拠はない
アルギニンと身長に関して医学論文を数多く調べてみたが、身長を伸ばすという研究は見当たりませんでした。
調査の対象としたのは主に二つのデータベースです。
- 世界中の医学論文を検索できるサイト(pubmed)
- アメリカ最大の栄養成分データベース(Natural Medicine database)
これらでアルギニンと身長に関して信頼できる研究は1件も見当たりませんでした。
1-1.アルギニンは成長ホルモンを分泌するのに身長が伸びるという研究結果がない理由
アルギニンは成長ホルモンの分泌を促進することで知られています。成長ホルモンが増えるため、身長が伸びるとしてアルギニン関連の商品が発売されています。
しかし、現実ではアルギニンが身長を伸ばすという実験結果はありません。このことに関して3つの理由が考えられています。
- アルギニンで促進する成長ホルモンの量は少なく、身長が伸びるといえるほどの効果はないのではないか
- アルギニンは栄養素であるため、大部分が体内で消費されている。
- 身長が伸びるのは成長ホルモンによる効果だけではない可能性がある
これらの理由から、アルギニンは成長ホルモンの分泌を手助けはするが、実際に身長を伸ばす効果はほとんどないというのが私の意見です。
ですが、望みにかけてみたいという方もいるでしょう。そういう方は次項の注意点を守りつつ摂取することをおすすめします。
2.もしアルギニンを利用するなら注意したい4つのこと
身長を伸ばす目的でアルギニンを摂取する場合、注意が必要なことが4つあります。
- 15歳以下ではアルギニンのサプリは利用しない方が良い
- できるだけ食事での摂取を心がける
- 成人では効果がない可能性が高い
- サプリメントを使う場合はお金をかけすぎないようにする
これら4つを是非意識しておいてほしく思います。これらを守ることで健康を害することなく適切にアルギニンを摂取することができます。
以下でそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1.15歳以下ではサプリメントを利用すべきではない
小児ではアルギニンのサプリメントは副作用を生じる可能性があるため、利用すべきではありません。そういった情報が科学的根拠に基づきハーブやサプリメントについて調べた辞書(ハーブ&サプリメント NATURAL STANDARDによる有効性評価)に記載されています。
一般的に小児は15歳以下を指します。そのため、私の意見としては15歳以下の場合はアルギニンのサプリを服用すべきではありません。身長を伸ばすために、逆に取り返しのつかない副作用が生じてしまう危険性は決して無視できるものではないでしょう。
2-2.サプリからではなく食事から摂取するほうが良い
もし、アルギニンを摂取する場合はできるだけ食事からの摂取をおすすめします。
その理由は3つあります。
- 15歳以下ではサプリメントを利用すべきでない
- サプリメントは製品ごとに規格が異なり、安全性を保障できない
- サプリメントにより容易に過剰摂取をしてしまう可能性がある
これらの理由から、身長を伸ばすためにアルギニンを利用するにしてもサプリメントではなく食事で摂取するのが良いように思います。
2-3.成人では身長を伸ばす効果がない可能性が高い
身長が伸びる条件として、骨端線が閉じていないことが重要だといわれています。骨端線が閉じているとどれだけ成長ホルモンが分泌されても骨は伸びません。
骨端線の閉じる時期に関しては、男性の場合17,8歳、女性の場合15,6歳となっています。もちろん個人差があり人によっては25歳程度まで骨端線が開いている方もいます。
アルギニンは成長ホルモンの分泌を増やすことで伸長を伸ばすという説に従った場合でも、20代だと身長が伸びない可能性が高いと思います。成人で利用する場合は過度な期待をしないようにすることを強く勧めます。
2-4.サプリメントを使う場合はお金をかけすぎないようにしよう
サプリメントでアルギニンを摂取する場合にはお金をかけすぎないようにすることを強く勧めます。
というのも、今のところアルギニンに身長を伸ばすという科学的根拠は全くありせん。効果がない可能性が高いものにお金を支払ってしまうのは無駄ではないでしょうか。そのことを意識し、過度な期待をしないようにサプリメントと付き合っていくことを勧めます。
3.アルギニンの摂取の仕方と副作用について
アルギニンの摂取量や多く含む食事、副作用を知っておくことは非常に重要です。
この項目を読み自分の生活にアルギニンを取り入れるかどうか判断してほしく思います。
3-1.身長を伸ばすために摂取すべきアルギニンの量について
アルギニンをどれくらい摂取したら身長が伸びるのかということについて具体的な数字をお伝えできません。というのも、科学的根拠が皆無なので完全にわからない状態だからです。
私の意見としては、1日に1,2品アルギニンを含む食事を摂取するという程度が良いのではないかと思います。
科学的な根拠はない現状にもかかわらず、この商品には「アルギニンが○g入っているから効果がある!」といったように宣伝している商品には気を付けましょう。現状、科学的な根拠となる信頼できる実験は見当たらなかったため、誇大広告の可能性が高いです。
3-2.アルギニンを多く含む食材
アルギニンを多く含む食材として鶏肉や牛肉、大豆やナッツなどがあげられます。
普段から意識して食べやすいものでアルギニンが多く含まれる食品として
- カツオ節(4300mg)
- 高野豆腐(4100mg)
- 鶏むね肉(1500mg)
などがあります。アルギニンを食事から摂取する場合はこれらを食事に取り入れるように、普段から意識してみてはいかがでしょうか。
3-3アルギニンの副作用
アルギニンの副作用について、今のところ報告されていません。
数日から数か月にわたる摂取の実験においても副作用は報告されていません。食事として摂取する分には安全な成分と言っていいのではないかと思います。
ただし、サプリメント等で大量に摂取した場合には何が起こるかわかりません。どの栄養素であれ過剰摂取は害になる可能性が高いです。サプリメントを利用する際も商品記載の用法を守り正しく向き合いましょう。
4.身長を伸ばす方法
身長を伸ばすためにできることとして、成長期であれば
- 成長ホルモン療法
- しっかりとした睡眠をとる
などが挙げられます。
もうすでに成人している場合は身長を根本的に伸ばすことはできませんが、
- O脚やX脚を治す
- 猫背を治す
ことにより身長を高く見せることができます。
4-1.成長ホルモン療法
病院で受けられる低身長の治療で、成長ホルモンを注射することにより成長を促す効果があります。
メリット
- 専門家のもとで根拠のある治療を受けられる
- 効果が出る可能性が高い
デメリット
- 注射であるため、痛みを伴う
- 費用が高い(医療費助成を受けられない場合年間60~70万)
医療費助成を受ける基準に関しては各自治体ごとに異なります。そのため、気になる方は各自治体に相談してみることを勧めます。
4-2.しっかりとした睡眠をとる
身長を伸ばすためには成長ホルモンの分泌が欠かせません。そのためには質が高く、十分な睡眠が必要です。
というのも、成長ホルモンは夜の10時くらいから増え始め12時ころにピークを迎えます。この時間に寝ていないと成長ホルモンの分泌量は減ってしまいます。また、睡眠時間が少ないと成長ホルモンの分泌が抑制されることが研究により報告されています。
成長ホルモンを多く分泌するための睡眠の条件として
- 夜10時までに就寝する
- 部屋を暗くし、静かな環境で寝る
- 寝る前にゲームをしたりテレビを見たりしない
- 寝る前に食事をしない
といった条件が挙げられます。まだ、成長期で身長に悩んでいる場合はしっかりとした睡眠をとることをメインにしてみてはいかがでしょうか。
4-3.成人している場合は姿勢を正そう
成人の場合は根本的に身長を伸ばす方法は今のところ発見されておりません。そのため、姿勢を正すことにより身長を高く見せることが良いと思います。
O脚や猫背などは改善すると1~5cmほど身長が伸びるといわれています。整体やO脚の改善グッズなどを利用して姿勢を改善してみるのはいかがでしょうか
まとめ
アルギニンは身長を伸ばすという科学的根拠はありません。もしアルギニンを利用する際は説明した4つの注意点を守りながら摂取することを勧めます。
当記事を読んでアルギニンについて正しく知り、効果が実証されていないものにお金を使いすぎないようになっていただけると幸いです。
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