妊娠したとき葉酸は重要だと言われていますが、どう重要なのか、どのように取り入れれば良いのか知りたいのではないでしょうか?
しかし、商品を売るためだけの情報も多く、赤ちゃんのことを想うと不安になってしまいますよね。
正しく知ってもらうため、厚生労働省の情報、国立健康・栄養研究所の情報、医学論文などをもとに調べ、私たち医大生で妊娠と葉酸についてわかりやすくまとめました。
積極的に葉酸を食事から摂取することで、赤ちゃんの生まれつきの病気(神経管閉鎖症害)を予防することができます。
この記事では、妊婦さんが知っておきたい葉酸の効果と正しい取り入れ方を説明しました。
元気な赤ちゃんを産むため、ぜひこの記事を活用してください!
1.妊婦さんが押さえておきたいたった5つのポイント
妊婦さんが知っておくべき、葉酸のポイントはたったの5つだけです。
- 葉酸を摂取することで、赤ちゃんの生まれつきの病気(神経管閉鎖障害)を予防できる。
- 妊娠1か月前~妊娠3か月の時期に葉酸を積極的に摂取する
- 妊婦さんでは480μg/日、授乳婦では340μg/日の葉酸を摂取する
- 基本的に食事から摂取する(足りなければ加工食品:葉酸米など)
- サプリメントは最終手段!医師や管理栄養士との相談・管理のうえで利用するように
これらの内容について、ここから詳しく説明していきます。
2.妊娠中・妊娠を計画している女性は葉酸を積極的に摂取しましょう
妊娠1か月前から妊娠3か月までの女性では葉酸を摂取するのが良いです。
なぜ、葉酸を摂取するべきなのか、わかりやすく解説していこうと思います。
葉酸は赤ちゃんの生まれつきの病気(神経管閉鎖障害)のリスクを低くします
葉酸は、赤ちゃんの生まれつきの病気である神経管閉鎖障害の予防に役に立ちます。
研究によると、妊娠1か月前から妊娠3か月の時期に葉酸を摂取することで、神経管閉鎖障害のリスクを70%低下させることがわかっています。1)2)
もし、その他の葉酸の効果について知りたい方は、健康維持や赤ちゃんのために!葉酸の4つの効果と活用法で説明していますので参考にしてください。
神経管閉鎖障害ってどんな病気
お母さんのおなかの中で、赤ちゃんの神経管が作られる段階で、異常が起こることによっておきる生まれつきの病気を総称して神経管閉鎖障害と呼びます。
代表的な症状として、下半身の麻痺や感覚障害、膀胱や直腸の障害、足の変形などが挙げられます。
赤ちゃんの流産や死亡率も高いので、しっかりと予防しておきたい病気です。
商品の製造者による誤解のため、あるいは悪質な商品により間違った情報が流れています。葉酸で不妊症が治る、美容に良い、優秀な子供が生まれる、といった表現の商品には特に注意しましょう。医学研究を調査してみてもそのような効果はありませんでした。
3.葉酸を正しく活用しよう!
葉酸を摂取するといっても、どういう時期に、どれくらい、どうやって摂取すればいいのか知っておかなくては効果も半減です。
3-1.葉酸の摂取はいつからいつまで?
葉酸の摂取は、妊娠1か月前から妊娠3か月目までの間に特に摂取するべきです。
というのも、赤ちゃんの神経系の発生は、妊娠7週未満の時期でおこります。そのため、赤ちゃんの生まれつきの病気(神経管閉鎖障害)を予防するためには妊娠時から7週までの時点ではしっかり葉酸を摂取しておく必要があります。
妊娠して、あるいは妊娠の疑いを持って産婦人科に来るころには、7週目を過ぎていることも考えられます。そのため、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までに葉酸を摂取するのが良いでしょう。
3-2.葉酸の推奨摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015」によると
必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | 400μg/日 | 480μg/日 |
授乳婦 | 280μg/日 | 340μg/日 |
となっています。少なくとも必要量を摂取できるよう普段の食事を工夫しましょう!
葉酸を普段どれくらい摂取してる?
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、普段の食生活で20歳以上の女性では283μg/日摂取しています。
意識的に葉酸をどれくらい摂取すれば良い?
妊婦では240~400μg/日、授乳婦では0~120μg/日を食事から摂取するのが良いでしょう。
というのも、葉酸は食事からの体内での利用率は50%です。葉酸の不足は妊婦では120~200μg/日、授乳婦では0~60μg/日であるため、意識的に上記の量の葉酸を摂取するのが良いでしょう。
葉酸を多く含む食材や加工食品・サプリメントの利用方法などについては4.具体的な葉酸の摂取方法でわかりやすく解説していきます。
葉酸を推奨量以上に多く摂取しても、病気の予防率に変化はありません。むしろ葉酸の過剰摂取による副作用の可能性が考えられます。副作用や被害事例については妊娠中の葉酸サプリに要注意!思わぬ副作用の危険性がありますの記事で説明しています。
4.具体的な葉酸の摂取方法
葉酸を摂取するにあたって、できるだけ食事で摂取するようにしましょう。とはいうものの、食事だけでは摂取しにくいケースも多いです。不足してしまう方は食品の形をした加工食品から摂取するようにしましょう。
サプリメントは最終手段です。過剰摂取による副作用が起こりやすいこと、サプリメントに含まれるほかの成分との相互作用により健康被害が起きうるためです。必ず、医師・管理栄養士の判断、管理のもと利用しましょう。
4-1.葉酸を食事から積極的に摂取しよう
葉酸を食事から摂取する場合、1日400μg余分に摂取するために工夫が必要です。多く含む食材を知っておき、調理方法を工夫しましょう!
葉酸を多く含む食材
野菜 | 肉・魚 | ||
---|---|---|---|
食品名 | 葉酸(μg/100g) | 食品名 | 葉酸(μg/100g) |
枝豆 | 260 | 鶏レバー | 1300 |
あさつき | 200 | 牛レバー | 1000 |
アスパラガス | 180 | 豚レバー | 810 |
ブロッコリー | 120 | うなぎ きも | 380 |
ほうれん草 | 110 | うに | 360 |
オクラ | 110 | フォアグラ | 220 |
しゅんぎく | 100 | いくら | 100 |
葉酸の調理法
葉酸は、熱で50%近くが分解するか、ゆで汁に溶けてしまいがちです。調理によって失われやすいため、調理方法を工夫する必要があります。
- ステンレス製の多層構造鍋を用いて調理する
- 自家製の野菜ジュースの作成
これらの工夫をすることで、葉酸が失われてしまうのを防ぎ、効果的に摂取することができます。
具体的なレシピ
具体的なレシピについては、国立健康・栄養研究所で葉酸を多く含むメニューとして紹介してあります。是非参考にしてみてください。
4-2.加工食品
葉酸を食事から摂取するとは言っても、食生活やライフスタイルによっては摂取しづらい方もいらっしゃるでしょう。そういう方は、葉酸を含む加工食品を利用しましょう。
食品の形が良い理由
サプリメントではなく、加工食品の方が良い理由としては食事の形であるため、匂いや量により過剰摂取しにくいというのが一番の理由です。
加工食品の選び方のポイント
加工食品を選ぶ場合は以下の3つのポイントを注意しておきましょう。
- 摂取量がはっきりとわかる
- 原材料が表示されている(エキスや抽出物は避ける)
- できるだけ不要な栄養素が多く含まれていない(特に美容成分などと記載されているものは要注意)
具体的な加工食品
おすすめとしては葉酸米や葉酸を含むヨーグルト、牛乳などがあります。それぞれの具体的な商品を15商品調査しました。
その結果、当サイトでは葉酸米が一番良いという結論に至りました。
葉酸米
大手食品メーカーであるハウス食品の「新玄 葉酸米」がおすすめです。
1食あたり200μgの葉酸が含まれており、食品の形であるため過剰摂取のリスクが非常に少ないです。また、そのほかの成分もビタミン等であるため、成分同士の相互作用による副作用も起きにくいでしょう。
4-3.サプリメント
サプリは最終手段
「妊婦さんの場合、安易にサプリメントに頼るべきではない」というのが私の考えです。このことについては国立健康・栄養研究所でも同じように指摘されています。(妊娠中の食事とサプリメントについて)
もし利用する場合は、自己判断で利用するのではなく、必ず医師・管理栄養士との相談のうえで利用しましょう。
というのも、過剰摂取による副作用や被害事例が報告されているためです。詳しくは妊娠中の葉酸サプリに要注意!思わぬ副作用の危険性がありますの記事で説明しています。気になる方は参考にしてみてください。
具体的サプリの選び方
基本的には医師・管理栄養士と相談のうえで推奨されたものを利用してください。ここでは、医師に自分で選ぶように言われた場合の判断の一つの基準を紹介します。
- 葉酸以外の成分をできるだけ含まない製品を選ぶ(複数の成分では、成分の相互作用による副作用の危険があるため)
- 原材料・含有成分が表示されている
- 1日の摂取基準が記載されている
- GMP準拠の品質のしっかりしたものを選ぶ
具体的なサプリ
上に記載した選び方にあてはまる具体的なサプリメントとして代表的なものは「小林製薬の栄養補助食品 葉酸」が良いでしょう。
大手製薬メーカーの製品でありつつ、栄養機能表示がしっかりとされており、葉酸以外の成分をほとんど含まないためです。
- 厚生労働省は特定のサプリメントを推奨していません。
- 天然成分だから効果がある等といったことは証明されていません。
- さまざまな成分が入っているものには要注意!相互作用の恐れがあります(美容にいい成分などと書かれている例もあります)
5.まとめ
葉酸は妊婦さんにとって必要不可欠な栄養素です。
しかし、サプリメントを売る目的などのために、偏った情報、誤解された情報が広まっています。
健康に赤ちゃんを産むためにも、今日から正しい情報を身に着けましょう!
妊婦さんのための葉酸の5つのポイント
- 葉酸を摂取することで、赤ちゃんの生まれつきの病気(神経管閉鎖障害)を予防できる。
- 妊娠1か月前~妊娠3か月の時期に葉酸を積極的に摂取する
- 妊婦さんでは480μg/日、授乳婦では340μg/日の葉酸を摂取する
- 基本的に食事から摂取する。足りなければ加工食品で(おすすめは新玄 葉酸米)
- サプリメントは最終手段!医師や管理栄養士との相談のうえで利用するように
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参考文献・参考元
- 厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」
- 国立健康・栄養研究所「葉酸」
- ナチュラル・メディシンデータベース
- 日本人の食事摂取基準2015
- 1)Double-blind randomised controlled trial of folate treatment before conception to prevent recurrence of neural-tube defects.
- 2)Prevention of neural tube defects: results of the Medical Research Council Vitamin Study. MRC Vitamin Study Research Group.