妊娠中期の食事量の目安と体重が増えすぎるパターン4つ

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妊娠中期は安定期に入ります。つわりも収まる頃なので「食欲が出て食べすぎてしまう」と悩む妊婦さんもいるのではないでしょうか。

今回は、太り過ぎて困っている方に向けて、体重が増えすぎる理由や「満足感を得ながら体重をキープする方法」を解説します。

つわりのような症状で食べられない妊婦さんに向けては「効果的な栄養の摂取方法」も紹介します。

最後に妊娠中期にプラスする250Kcalのメニューについても紹介するので参考にしてみてください。

妊娠中の体重増加の目安

妊娠中の体重増加の目安は妊娠前の体格によって違いがあります。もともと痩せていた人は多めの体重増加、肥満だった人は少な目の目標値が設定されます。

◆妊娠全期間の体重増加の目安 厚生労働省「すこやか親子21」より

BMI(ボディー・マス・インデックス)体重増加の推奨値(㎏)
18.5未満(やせ)9㎏~12㎏
18.5~25未満(ふつう)7㎏~12㎏
25以上(肥満)個別対応(5㎏程度)

中期の体重増加は最大でも週に0.5㎏までに

また、妊娠中期からは週ごとの体重増加の目安も決められています。赤ちゃんの成長と妊婦の生理的な体重増加を考慮し、中期も後期も週に最大でも0.5㎏までの増加が理想とされます。

中期から体重増加するパターン4つ 

妊娠中期から体重が増えすぎてしまうのはなぜなのでしょうか。「水を飲んでも太る」と悩む方もいるかと思いますが、中期から体重が増えすぎてしまうパターンを4つ挙げてみました。

①妊娠前に太らないよう意識して食べていた

妊娠前のエネルギー摂取量が少なかった妊婦さんが「赤ちゃんのために、しっかりと栄養を摂ろう」と意識的に食べると、体重が増えすぎてしまう場合があります。

日本の妊娠年齢の女性は「やせ志向」が強く、摂取カロリーがとても少ないのです。そこで妊娠してから“標準の量”または“標準よりやや少ない量”を食べようとすると、妊娠前に比べるとかなりのカロリーを摂ることになります。

中期のカロリーの目安は、妊娠前の摂取カロリー+250kcalですので、それ以上に食べすぎると、あっという間に体重が増えてしまう一因となります。

妊娠世代のカロリー摂取量が少ない方が問題なのですが、妊娠してから標準量の食事をとると太りすぎる場合もあるのです。

【数字で見る“女性の痩せ”問題】
・20代女性のやせている人(BMI18.5未満)の割合は20%を上回っている(*1)
・20~49歳女性の平均摂取カロリーは1600~1750kcal(H30国民健康・栄養調査結果より)
・妊娠前の目安の摂取カロリーは2200kcal(妊産婦のための食事バランスガイドより)なので、妊娠前からそもそも450~600kcalも不足している

ただし、BMI18.5未満の「やせ」の妊婦さんは、少なくとも9㎏以上の体重増加が必要とされています。また体重増加の目安も、個人によって異なる場合もあります。太るのを恐れて極端に食事を制限すると、赤ちゃんにいく栄養が足りなくなる恐れもあるため、過度な制限はNGです。

②無意識に食べてしまっている

「そんなに食べていないのに太る」と困っている方は、もしかすると「無意識に食べている」のかもしれません。飲み物・飴やガムなど、一つ一つは低カロリーでも、積み重なればそれなりのエネルギーになります。

一日に口にするものを、全て書き出して振り返ることも必要かもしれません。

③妊娠してから生活が変わった

妊娠で生活様式が変化すると、太りすぎる原因になることがあります。活動量が減少する一方、摂取カロリーが増加すると太るのです。

「今まで立ち仕事だったのに、座り仕事になり消費量が減った」
「電車通勤から車通勤に変更した」
「仕事を辞めた」
 
「家事がつらくなり惣菜や弁当、外食を利用することが増えた」
「つわりを機に食の好みが変わり、こってりした味を好むようになった」

以上のような変化があると、消費カロリーと摂取カロリーのバランスが崩れ、体重が増えすぎてしまう原因になります。

④つわり後のリバウンド

つわり後のリバウンドも中期から太りすぎる原因の一つです。食べられるようになったのは、妊婦さんにとっても赤ちゃんにとっても良いことです。しかし、必要以上に食べ続けてしまうと体重が増えすぎてしまいます。

太り過ぎを抑える食事の方法5つ

では、中期から太り過ぎないようにするにはどうすればいいのでしょうか。太り過ぎを抑える食事の方法を5つに絞って説明します。

中期は妊娠前の食事を基本に果物・納豆・お浸しをプラス

中期からは妊娠前の食事を基本として約250kcalをプラスします。内容はヘルシーな「タンパク質と野菜のおかず」と「果物」です。おかずのイメージは、納豆やお浸しなど。

こってりしたおかずや、ご飯の大盛り、間食をしてしまうと、あっという間に250kcalを越えるので注意しましょう!

厚生労働省はバランスガイドの中で、妊娠中期に追加するメニューを下記のように勧めています。参考にしてみてください。

主菜豆腐(100g)、納豆(1パック)、卵1個、焼き魚1/2、ハンバーグ1/3など
副菜野菜サラダ、お浸し、具たくさん味噌汁など
果物みかん1個、リンゴ半分、柿1個、梨1/2など

野菜たっぷりのメニューを

太り過ぎで悩む妊婦さんは、野菜たっぷりのメニューにすると満腹感が得られ食べ過ぎを防ぐことができます。野菜は食物繊維や妊婦に必要な葉酸もある程度取れるので積極的に食べましょう!

うすあじ・減塩を心がける

出汁をきかせ、薬味を加えるなどで「うすあじ」の料理にすると食べすぎを抑えられます。

また、妊婦さんの塩分摂取量は妊娠前の女性と同じく1日6.5gが目安です。砂糖や醤油たっぷりの「濃い味」の料理は、塩分過多の原因になる上に、食欲が増してしまうので注意しましょう!

朝昼を多め夕は軽くする

活動量が多い日中は多めの食事、夕飯は軽くすると太りにくくなります。帰宅の遅い家族に合わせて食事をする方は、カロリー控えめのお食事にしておきましょう。

食べることに集中!ながら食べはNG

スマホやパソコンをしながら「ながら食べ」をすると食べた実感が希薄になり食べ過ぎにつながります。

食事は、お皿に綺麗に盛り付けて、ゆっくりと味わった方が目や匂いで食事を楽しめて満足感も得られます。

仕事や家事、上のお子さんの育児などで忙しいと思いますが、太り過ぎで困っている方は食べることに集中してみませんか?

体重の増減を気にしすぎない!

妊婦さんの中には、検診で体重増加しすぎて注意されて落ち込む方もいるようです。確かに過度に太るのは分娩時のリスクが大きなるので良くはありません。

でも、毎日の生活のなかで理想通りに体重を増やすのは難しいこともあります。

「今日食べ過ぎたら明日で調整する」「栄養が偏らないように意識して食べる」など、自分なりに気を付けて、必要以上に体重の増減を気にしすぎるのはやめましょう。

食べられない妊婦さんはどうしたらいい?

中期に入っても、つわりのような不調が続き思うように食べられない方がいます。その対処法について説明をします。

中期で食べられない原因を知って対処を

中期になっても食べられないのは「つわりが残っている」「胃の働きの低下や圧迫感」などが大きな原因となっているようです。

胃の圧迫感は、個々によって違いがあり、赤ちゃんがそれほど大きくなっていないにもかかわらず、圧迫されているように感じることもあります。

また、妊娠を継続させるホルモン「プロゲステロン」は、消化管の活動を抑えたり括約筋を緩める作用があります。(*2)

そのため、食べた物がスムーズに消化されず胃のむかつきを起こす、胃液の逆流で食道に炎症を起こす、便秘になり気持ち悪い等々で食べられない事があるのです。

胃の圧迫感があるときは消化の良いものを少しづつ

胃の圧迫感で食べられない場合は、消化の良いものを少量ずつ食べるのがお勧めです。

消化が悪いのは、脂肪分が多い食材や料理食物繊維の多い野菜(ごぼうなど)や海藻、玄米などです。

【消化にやさしいおすすめの食材】
脂身の少ないお肉(もも肉、鶏のささみなど)、白身魚、大根、キャベツ、ほうれん草、豆腐、おかゆなど

調子が悪いときはいったんこのようなものを中心にした食事を少量ずつ食べ、胃の調子を整えてから少しずつ普段の食事に戻していきましょう。

吐いてばかり!胃痛がおさまらない!時は医師に相談

中期になっても吐いてばかりで食べられない、水分がとれない、胃痛がおさまらない、などの症状があるときは、医師に相談しましょう。これらの症状はつわりとは限らず、消化器疾患の場合もあります。

また、妊婦さんでも虫垂炎になる割合は少なくなく、治療が遅れると重くなりやすいです。(*3)腹痛が強くなってきた場合はなるべく早く受診しましょう。

食べられないときは効率よく栄養をとろう

食べられない妊婦さんは、栄養が効率よく吸収されるような食べ方をしましょう。

タンパク質ファーストの食べ方で効果的に栄養を

「野菜から食べる」ダイエットがありますが、食べられない方が野菜から食べてしまうとお腹が一杯になってしまいます。

タンパク質のお料理から先に食べる「タンパク質ファースト」を心がけ、次はエネルギー源となるご飯などの「主食」をとるようにするなど、食べ方の工夫をしてみましょう。

栄養素が吸収されやすい組み合わせで食べよう

食事の組み合わせによっては「栄養が吸収がしづらい」逆に「吸収が良くなる」ことがあります。少量しか食べられない妊婦さんこそ、吸収の良い食べ方をしたいものです。

「ヘム鉄」をとるよう心がけ「非ヘム鉄」はビタミンCと一緒に

妊娠中期から追加で必要になる「鉄」は、植物性食材に多い非ヘム鉄肉魚に多いヘム鉄の2種類があります。

ヘム鉄の方が非ヘム鉄より吸収率が高いので、魚介類や肉をしっかり食べることで効率的に鉄がとれます。

野菜や納豆などの植物性食材に含まれる非ヘム鉄は、コーヒー、緑茶などに含まれるタンニンと一緒にとると吸収しづらくなります。

逆にタンパク質・ビタミンCの組み合わせや胃酸によって非ヘム鉄の吸収率をアップさせることはできます。

◆非ヘム鉄の吸収を上げる食べ方の例

・ほうれん草のお浸しに、動物性たんぱく質を補える鰹節を加える
・非ヘム鉄の吸収率をアップするビタミンCが含まれるレモンを絞る、または食後に果物を食べる
・酢の物で胃酸分泌をアップし、非ヘム鉄の吸収を高める
・非ヘム鉄の吸収をさまたげるコーヒーやお茶は食後に飲まない

鉄がとれる食べ物や上手な食べ方については、この記事も参考にしてください。

妊娠中期にとりたい具体的な食事メニュー

妊娠中期にとりたい具体的な食事のメニューを紹介します。太りにくいメニュー選びのポイントはタンパク質・鉄分、葉酸がとれる食材を使い、ヘルシーに調理したメニューを選ぶことです。

主菜は鉄分がとれるヘルシーなタンパク質食材を選ぶ

主菜は、鉄がとれるタンパク質食材を選びましょう。

◆鉄がとれる食材:牛肉・あさり・かつお・さば・卵・納豆など
 
おすすめの主菜レシピ3つ

豆乳のクラムチャウダー(おいしい健康)

いわしのつみれ汁(おいしい健康)

つみれを作るのが面倒な場合は、イワシのつみれの冷凍食品もあります。

魚介と豆のトマト炒め(第一三共株式会社 eレシピ)

副菜は緑の野菜を中心に選ぶ

副菜は淡色野菜でも緑黄色野菜どちらでもOKですが、緑の野菜を選ぶと鉄や葉酸がとりやすくなります。

果物は毎食みかん1こ分を目安に

厚生労働省は妊娠前の基本食で、1日に果物2つ分をとることを推奨しています。中期からは更に果物一つ分を加えるので、毎食果物を一品付ける形になります。

果物はビタミンCがとれるので、おすすめです。しかし食べすぎると太りますので適量にしましょう。

妊娠中期の食事量を把握して後期に備えよう!

初期はつわりで食べ物を見るのも嫌だった方も、妊娠中期からは前向きになり「ちゃんとした食事をしよう!」と考える妊婦さんが多いようです。

自分の食事量が多すぎるのか少ないのか、今一度振り返ってみて後期に備えましょう!

 

【参考・参照】

(*1)厚生労働省eヘルスネット:若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-006.html
(*2)MEDIC MEDIA 病気がみえるvol10 産科
(*3)日本医科大学多摩永山病院 女性診療科 ・産科医局
https://nms-obgyn-nagayama.jp/manual_site/sign1_4_8.html

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