サプリメントや健康食品は、摂取するだけで手軽に健康になれるというイメージがありますが、本当に効果があるのなのでしょうか。
当サイトでは、栄養素についてこれまで数千もの医学論文を調査してきました。それを踏まえて、サプリメントの効果に関して、4つの結論が得られました。
- サプリメントは不足している栄養を補給するためには、とても役に立ちます。
- 不足している栄養素を補うことで健康を維持することができます。
- 悩みの解決や病気の治療にはほとんど効果がありません。
- 過剰摂取や体質による副作用も見られており、サプリメントだから安全というものではありません。
残念なことに、多くのサプリメントで根拠がない効果について期待させて売り出したりされており、サプリメント本来の役割が正しく伝わっていません。
正しいサプリメントとの向き合い方を知りましょう!
1.サプリメントの効果を信じすぎないようにしよう
サプリメントの効果を信じすぎてしまうのは危険です。
その理由は二つあります。
- 効果の根拠がないものが非常に多い
- 制度的に多くの実験を必要としない
これらについて知っておくとより正確にサプリメントと向き合えるようになるでしょう。
1-1.効果の根拠がないものが非常に多い
私たち医大生で医学論文を調べて検討していくと、効果に関する実験が全く行われていないのに、信じられている効果というものがたくさん存在します。
例えば、DHAが頭が良くなるなど言われていますが、そのようなことを示す医学論文は一つも存在しませんでした。
非常に多くの商品で、ほんの数人で効果があった、ラットで効果が認められたなどの非常にレベルの低い根拠をもとに効果を宣伝しています。サプリメントの効果に関してはある程度疑ってかかったほうがいいように私は思います。
1-2.制度的に多くの実験を必要としない
健康食品やサプリメント、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、健康飲料などに関しては国に届け出たり認証や表示に許可なども必要ありません。
そのため、ちゃんとした研究を行わなくても商品として売り出すことができます。
唯一、特定保健用食品はある程度の科学根拠と国の許可が必要となります。それにしても医薬品に比べて遥かに試験者数も少なく、基準もゆるいものです。
本当に効果があるのであれば、ちゃんと実験を行い医薬品として発売するほうが企業としても儲かります。しかし、医薬品として認められるほどの効果がないため、サプリメント等として売り出しているということを押さえておきましょう。
1-3.アメリカで40万人を動員したサプリ研究により明らかになった、サプリそのものへの疑問
2013年にアメリカで興味深い研究が発表されました。一番市場の大きいビタミンの分野に関して、40万人もの利用者を調査して得られた研究です。
簡単に研究結果を示します。
- βカロチン、ビタミンE、ビタミンAのサプリメントの過剰摂取は効果がないだけでなく、体に有害である。
- 抗酸化サプリ、葉酸、ビタミンB、マルチビタミン、ミネラルといったサプリメントで慢性疾患の予防やそれによる死亡に対して効果がない
1つ目の実験ではランダムに40万人の参加者に対してマルチビタミンサプリメント、単剤、あるいは複数のビタミンサプリメントを割り当て、実験した。
その結果、心血管疾患やガンに対してサプリメントが有益とする明確な証拠が得られないとわかった。
2つ目の実験では65歳以上5947人で認知機能とマルチビタミンの関連性を調査した結果、実験開始から12年後全体的な認知機能や言語障害に関してマルチビタミンサプリメントによって効果は見られなかった。
また、互換性のある研究によるとマルチビタミンサプリメント、ビタミンB、ビタミンエ、ビタミンC、ω3脂肪酸を含む栄養補助食品が軽度~中等度の認知障害の人に対しての実験の結果、認知機能を改善しないことがわかっている。
3つ目の実験では心筋梗塞の前歴を持つ1708人の男女でマルチビタミンサプリメントと心血管障害の再発との関連性について調べた。4.6年の追跡調査の結果、マルチビタミンと心血管の再発に関連性は見られなかった。
出典:annals of internal medicine:ビタミンとミネラルのサプリメントにお金を浪費するのはもうやめよう
もっと噛み砕いて表現すると、慢性疾患などの予防のためにこれらのビタミンを使っても効果がありません。それどころか体に悪影響を及ぼすものもある、という研究結果です。
もしかしたら今後、他の分野でもサプリメントは全く効果がないという研究がどんどん発表されていくのかもしれません。
2.サプリメントや健康食品にまつわる3つの危険性
サプリメントや健康食品に頼りすぎると、3つの危険があります。
- サプリを飲んでいるからという理由で受けるべき医療を受けなくなる
- 副作用や健康被害
- 効果がないものにお金を浪費してしまう
それぞれ解説していこうと思います。
2-1.サプリを飲んでいるからという理由で受けるべき医療を受けなくなる
「サプリを飲んでいるから私は血糖値が上がらない」「サプリを飲んでいるから私は健康なんだ」「サプリを飲んでいるから貧血が治るに違いない」
そう思い込み安心した結果、治療を受けるべきなのに、医療を受けない人がいらっしゃいます。そして病状がだいぶ進行、あるいは手遅れになってから病院へ来られます。
いくら健康食品やサプリメントが高血圧、肥満、ガン、認知症などに効果があると書いてあっても、それらの病気に該当する人はしっかりとした医療を受けることを強く勧めます。
また、成分によっては医薬品と相互作用を示し、体に悪影響を及ぼすものもあります。そのため何かしら薬を常用的に飲んでいる方はしっかりと医師などに相談の上、摂取することを勧めます。
2-2.副作用・健康被害に注意!天然成分だから安心だと思うな!
サプリや健康食品の中には副作用があるものもあります。
成分が天然成分だから副作用がなく安全!と思い込んでいる人もいるでしょう。商品によってはそのセールスページで天然成分だから副作用がないと書いてあるものもあります。それは大きな間違いです。
きちんとした臨床データが少ないため副作用がわかっていないだけという危険な商品もあるのではないかと思います。それくらい、臨床データが少ないということは危険なことなのです。
2-3.効果がないものにお金を浪費してしまう
効果が科学的に実証されていないものにお金を使ってしまうのは浪費というほかないと思います。むしろそのような商品を出し、ユーザーに価値がないものを買わせる企業は恥ずべきであると思います。
3.健康を保つために本当にすべきこと
基本的には健康維持のために、サプリメントや健康食品は不要です。
というのも、バランスのよい食生活をしていれば十分以上に必要な栄養は確保できているからです。サプリメントはあくまで補助、健康維持のためにはもっと根本的な部分に働きかける必要があります。
健康維持をしたいなら
- 睡眠
- 適度な運動
- バランスの良い食生活
が王道であり、コレに勝る健康方法はありません。これは医師や医療関係者にとっての常識です。
付け加えるならば
- お酒は適量に。タバコは吸わない。
ということぐらいでしょう。
サプリメントを飲むあるいは健康食品を食べるだけで、健康になったり、肌がきれいになったり、痩せることができたり、そのようなことは絶対にあり得ません。
本当に当たり前すぎることなのでがっかりされるかもしれません。しかし、これらをないがしろにしてサプリメントで健康を得られるということはありえないのです。
4.まとめ
サプリメントや健康食品には健康に関して大きな可能性を秘めています。だからこそ、怪しげな商品のいうことを鵜呑みにせず、しっかりと判断して向き合ってほしく思います。
そして、あなたが健康でいたいのなら、
- バランスのとれた食事
- 適度な運動
- 十分な睡眠
であることが一番重要です。
決してサプリメントや健康食品を摂取したら健康になる訳ではありません。サプリメントも健康食品もあくまで健康に対する補助にすぎません。
しっかりとした生活習慣を実践し、その上でサプリメントとうまく向き合えるようになりましょう!
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