たくさんの種類のサプリがあり、どのサプリを摂取するのが良いのかわからないのではないでしょうか。
サプリメントは、健康を維持するうえでとても役に立ちます。
しかし、宣伝のために情報を捻じ曲げたり、セールストークの過剰な商品も数多くあり、どれが効果的なのか迷ってしまいますよね。
この記事では厚生労働省の資料をもとに、公正な立場で安全で効果的なサプリメントの選び方をわかりやすく解説しました。実際に商品を選ぶ際に役に立てていただけるかと思います。
是非、当記事を利用して、サプリを健康に役立ててください!
目次
0.サプリを選ぶ前に知っておくべき基礎知識
サプリメントを選ぶ前に、安全にサプリと向き合うために知っておいていただきたい基礎知識があります。
安全で効果的にサプリを利用するために知識をつけておきましょう。
0-1.サプリを使ってはいけない人
以下の人たちではサプリを自己判断で使ってはいけません。必ず医師との相談のうえで利用しましょう。
妊婦・授乳婦 | 厚生労働省でも喚起されていますが、妊婦さん・授乳婦さんではサプリメントを自己判断で使ってはいけません。妊婦・授乳婦では倫理上の問題で、安全や有効性に関する実験を行うのがとても難しいです。そのため、摂取により、赤ちゃんと妊婦さんへの影響について安全性が確保されていません。サプリにより健康被害が出た例も報告されています。 |
高齢者 | ほとんどの高齢者の方は何かしら薬を利用しているかと思います。安全と思われるサプリメントも、薬と併用することで相互作用が生じ、薬の効果を弱めたり強めたりします。非常に危険ですので、高齢者の方はサプリメントは自己判断で利用しないでください。 |
乳幼児 | 乳幼児でも、サプリメントの体への影響が解明されていないことがほとんどです。悪影響の可能性もあります。また、正しい食生活の習慣がつかない可能性がある点にも注意が必要です。 |
病気の人 | 病気の治療のためにサプリを使うのは絶対にやってはいけません。治療を受けている場合は、薬との相互作用により、症状が悪化することもあります。治療を受けていない人でも、病院に行くべき人が病院に行かずに病気の発見が遅れるケースが多々あります。 |
0-2.薬の代わりに使ってはいけません
悪質なサプリメントの宣伝ではあたかも病気が治るかのような宣伝(アトピーを治す、高血圧を治す、不妊症を改善する等)をしています。しかし、サプリメントを使って病気が治るということはまずありません。
病気が治る等の表記があるサプリメントは、薬事法に抵触する違法品です。違法の商品であるため、効果がないどころか体に悪影響を与える商品も多く存在します。(もし、本当に病気の治療に効果があるのならば、医薬品として販売した方が企業は何倍も儲かります。)
0-3.サプリにも副作用はあります
サプリメントや健康食品は薬じゃないから安全だと勘違いしている方もいますが、サプリメントにも副作用はあります。
たとえば、体に良いとされるビタミンAやビタミンEもその1例です。これらについて、過剰摂取により死亡率が上昇することが、23万人を対象とした信頼性の高い研究1)により明らかにされています。
薬じゃないから安全だと考えて、むやみやたらとサプリメントを利用するのはやめましょう。
0-4.科学的な根拠のない効果も多数あります
医学的には全く実証されていないのに、宣伝などにより効果があるように見せられている効果は多くあります。
科学的に根拠がないのに一般に信じられている例
DHA | 頭が良くなるなど言われていますが、医学的な根拠は皆無です。詳しくはDHA・EPAの正しい効果で説明しています |
プラセンタ | 美肌や美容に良いといった科学的な根拠はありません |
タウリン | 疲労回復に効果的という医学的な根拠はありません。詳しくはタウリンの効果で説明しています |
ブルーベリー | 目に良いということについては科学的な根拠はありません |
間違った効果に騙されないために
当サイトでは、医師や医学生のチームで、医学論文をもとに正しい効果を一般の方に知っていただけることを目的に、記事を更新しています。ぜひ当サイトを活用して、正しい効果について知っていただきたく思います。
1.安全なサプリメントを選ぶための6つのチェックポイント
当サイトでは、厚生労働省の資料2)を基に、安全にサプリメントを選ぶ基準としての6か条を作成しました。
サプリメントを選ぶ際には、この基準を満たすように選択すると、安全かつ効果的にサプリメントを選べるかと思います。
- 目的とする栄養素について、トクホ・栄養機能食品があれば、そちらを選ぶ
- 成分名・含有量・お問い合わせ先が書かれているか調べる(特に○○抽出物に注意!)
- 製造方法がしっかりしている(GMP基準準拠かどうか)
- 個人輸入・海外製品ではないかチェック
- 魅力的な表現(受賞歴や人気ランキング1位など)に要注意しておくこと
- 科学的な根拠がない効果を目的に選ばない
1-1.目的とする栄養素について、トクホ・栄養機能食品があれば、そちらを選ぶ
目的のある栄養素について、トクホや栄養機能食品があれば、そちらを選びましょう。
というのも、トクホではその商品の有効性や安全性について国により個別に審査が行われているためです。また、栄養機能食品では、その成分を安全・有効に使える上限・下限が医学研究に基づき定められています。そのため、トクホや栄養機能食品の方が、一般のサプリより安全性や有効性に信頼が置けますです。
例えば、亜鉛は2.1mg~15mgのサプリであれば栄養機能表示できます。この摂取量は安全で有効に使える量として国の調査によりわかっています。そのため、亜鉛15mgの商品Aと、亜鉛40mgの商品Bでは、しっかり栄養機能食品の規格を遵守している亜鉛15mgの商品を選ぶ方が良いというのは当然のことではないでしょうか。
1-2.成分名・含有量・お問い合わせ先が書かれているか調べる
成分名・含有量について
どのような成分がどれくらい入っているのか記載されている商品を選びましょう。記載されていないものには、目的の成分が入っていなかったり、非常に少量しか入っていないことがあります。
目的とする成分が「○○抽出物・○○粉末・○○エキス」といった場合には要注意
原材料の表示の部分で、目的とする成分が「○○抽出物・○○粉末・○○エキス」などの場合には要注意です。どれくらいの原材料から、どういった方法で、何を抽出したのか不明なケースが多く、有効性や安全性に信頼がおけません。
お問い合わせ先
食品衛生法により、販売者や製造者名を書くことが義務付けられています。しかし、悪質な製品では、健康被害が出ても訴えられないようにするためか、お問い合わせ先を記載していないものがあります。お問い合わせ先を記載していない製品は違法のため、悪質な製品として避けておくのが良いでしょう。
1-3.製造方法がしっかりしている(GMP基準準拠かどうか)
製造方法については、GMPマークを目印に選ぶのが良いです。
GMPとは、適正製造規範(good manufacturing practice)のことで、国により定められた医薬品等の製造品質管理基準のことです。GMPマークの付いた製品は一定の品質が確保されています。
1-4.個人輸入・海外製品ではないかチェック
個人輸入・海外製品のサプリメントを利用するのは絶対にやめてください。
意図的に薬の成分を含んでいるものもあり、その量が致死量のものもあります。実際に中国製のダイエット食品により、健康被害100件以上、死者4人が日本国内で報告されています。健康になるために使うサプリで命を落としてしまうほどもったいない事はないかと思います。
1-5.魅力的な表現に要注意
- 天然成分由来だから安全
- 厚生労働省推奨!
- 「○○セレクション金賞」「○○ランキング1位」といった表現
- 美容に良い、キレイになれるなどの購買欲をかきたてる表現
には要注意です。天然成分由来だからといって安全ではありませんし、厚生労働省が個別のサプリを推奨することはありません。受賞歴は安全性の保障になりません。購買欲をかきたてる表現は誇張が入っていることも多いです。
これらの魅力的な言葉には十分に注意しましょう。
- アレルギーの原因になりやすい
- 合成成分より安全という科学的な根拠はない
- 有害物質や不純物が除去されていないことも多い
- 産地や天候により品質が安定しない
1-6.科学的な根拠がない効果を目的に選ばない
科学的な根拠がないのに、さも効果があるかのように効果を謳っているサプリメントは非常に多いです。
実際に使ってみたら効果がなかったというのはお金の無駄ではないでしょうか。それどころか、副作用の危険性すらあります。「科学的な根拠がない効果を目的に選ぶ」のはとても割に合わないのではないでしょうか。
2.使ってみて効果が実感できないとき
2-1.本当に効果があるのか調べる
使ってみて効果がないと実感した場合は、本当に効果があるのか調べるのが良いでしょう。その際に注意するべきことが二つあります。
情報が医学研究などに基づいているか
成分の効果を調べても、宣伝ばかりが検索上位を占めている現状です。調べる際には、そのサイトが医学研究に基づき情報を発信しているか見ましょう。
- 論文のリンク元が掲載されている
- RCTやメタアナリシスといった信頼性の高い研究を中心に情報がまとめてあるか
- ひとりの医師の意見ではなく、研究を中心に情報がまとめられている
といったポイントを中心に、情報を見極めましょう。
当サイトでも、さまざまな栄養素について医学研究をもとに一般の方にわかるよう解説していっておりますが、まだ取り扱っていない成分もあります。当サイトで見つからない場合は、国立健康・栄養研究所の素材成分データベースを活用するのが良いでしょう。専門的で難しい部分も多いですが、信頼性の非常に高いデータベースです。
成分の効果と製品の効果は別
成分で効果が認められていても、実際の製品では効果がないものも多くあります。というのも、製品ごとに含有量や体での吸収率が異なったりするためです。成分で効果があっても、実際の商品で効果がないということはよくありますので、その場合にはその商品の利用をやめるのが良いでしょう。
2-2.使い方が間違っている可能性があります
トクホであれサプリメントであれ、それだけを利用することによって健康になれるということは絶対にありえません。
「体脂肪がつきにくい食品」を摂取したところで、それを使っているからと安心して脂っこい食品を食べたり、運動をしなければ効果はありません。むしろ逆に太ってしまうことさえあります。
正しい使い方とは「サプリメントを補助的に使うことで、生活習慣や食習慣を改善していく」というものです。
例えば、「体脂肪がつきにくい食品」をつかうなら、それを利用するのをきっかけに運動を始めてみたり、食事の栄養素を考えてみたりすることにより、相乗効果的に効果を発揮するのです。
サプリメント単体を使うことで健康になれるということは絶対にありえません。
2-3.やめるのも一つの手
長く健康食品を使っていると、大して効果は感じられないのに惰性で続けているということも多くあるかと思います。金銭的な負担もばかになりません。
たいして効果が見られない場合は、一度摂取をやめてみるのが良いでしょう。やめても問題ないかもしれません。
3.サプリメントを安全に活用するためのポイント
これまでサプリメントの選び方についてお話してきました。
たった3つのポイントを押さえておくだけで、より安全にサプリメントを利用できるようになります。少しだけ活用法についても学んでおきましょう。
3-1.複数のサプリメントを使うのはやめておきましょう
基本的に複数のサプリメントを同時に利用すべきではありません。
というのも、成分同士の相互作用による副作用の可能性が一気に上がります。単一のサプリメントではなんともなかったのに、複数使うことで肝臓や腎臓の障害が出てくることも珍しくありません。
また、なにかしらの症状が出た場合に、医師がどのサプリが原因だったかを判別するのが非常に難しくなります。その結果治療が遅れ、アレルギーや肝臓の障害に長く苦しむことだってあり得ます。
3-2.多量に摂取するのは絶対ダメ!
サプリメントを過剰に摂取すると、どのような成分であれ副作用が起こります。
多く摂取したから余分に健康になれると勘違いされる方などもいらっしゃいますが、実際は真逆です。ビタミンAなどでは過剰摂取により死亡率があがっていることが報告されています。1)
必ず、製品に記載されている用量用法を守りましょう。
3-3.サプリ記録をつけておく
より安全に使うために、いつ・どれくらい・なんというサプリメントを摂取したか記録しておきましょう。
非常に面倒かとは思いますが、サプリメントの記録があるだけで、副作用が出た際に医師は原因を特定しやすくなるため、治療がスムーズに行きます。
体調が悪くなったらサプリを中止してすぐに病院にいき、サプリ記録を見せましょう。
日にちと製品名、何粒が書いてあれば十分です。
4.まとめ
これまでサプリメントの選び方について解説してきました。
サプリメントの選び方の6ヶ条をしっかりチェックするだけで、かなり安全に、かつ効果的にサプリと向き合えます。是非、サプリメントを選ぶ際には参考にしてみてください。
- 目的とする栄養素について、トクホ・栄養機能食品があれば、そちらを選ぶ
- 成分名・含有量・お問い合わせ先が書かれているか調べる(特に○○抽出物に注意!)
- 製造方法がしっかりしている(GMP基準準拠かどうか)
- 個人輸入・海外製品ではないかチェック
- 魅力的な表現(受賞歴や人気ランキング1位など)に要注意しておくこと
- 科学的な根拠がない効果を目的に選ばない
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