妊婦さんにNGな食べ物って?妊娠中の食べ物の疑問を一覧表で解決!

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妊婦さんが食べてはいけない食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。「こんなものも!?」と思うような食べ物もあり、不安に思う方も多いのではないでしょうか。

妊婦さんがNGな食べ物には、「避けた方が良いもの」「量に気を付けた方がいいもの」の2種類があります。

今回は妊娠中のNG食べ物について、一覧表でわかりやすく解説します。さらには「これは大丈夫?」と疑問に思われやすい食べ物についてもお伝えします。

■目次

 

1.一覧表でわかる妊娠中のNG食べ物
 1-1.ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテ
 1-2.生肉
 1-3.アルコール
 1-4.コーヒーなどカフェインの含まれる飲み物
 1-5.レバー、うなぎ
 1-6.大型の魚
2.この食べ物は大丈夫?
 2-1.人工甘味料
 2-2.はちみつ
 2-3.生卵
 2-4.ノンアルコールビール
 2-5.エナジードリンク
 2-6.ひじき

1.一覧表でわかる妊娠中のNG食べ物

妊婦さんがNGな食べ物は以下の通りです。「避けた方が良いもの」と「量に気を付けた方が良いもの」の2つに分けています。

避けた方が良い ×ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテ、生肉、アルコール、レバー
量に気を付けた方が良い △コーヒーなどカフェインが含まれるもの、うなぎなどビタミンAが含まれるもの、大型の魚

では詳しく解説していきます。

1-1.ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテ

ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテに共通しているのがリステリア菌による食中毒のリスクがあるということです。特に妊娠中は免疫力が下がりやすくなり、一般の人より感染しやすくなるため注意が呼びかけられています。(*1)

リステリア菌はほかの食中毒菌とは違い、冷蔵庫の低温の中や、保存が効くように塩分が多く使われた食品の中でも増殖します。そのため、冷蔵庫の中で長く保存されるナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモンなどが原因食品となります。

【リステリア菌に感染するリスク】

妊婦がリステリア菌に感染した場合、赤ちゃんの流産や早産、死産の原因になることや、髄膜炎や水頭症、精神・運動障害みられることがあることが知られています。(*2)
しかし、妊婦自身は風邪様症状がみられる程度で、妊婦が重症となることはほとんどなく、感染しても気づかない場合もあります。妊婦に症状がなくても赤ちゃんへの影響が考えられるため、症状がないからといって安心はできません。

リステリア菌は加熱により死んでしまうため、加熱している食品であれば感染のリスクを下げることができます。(*3)

妊娠中は、ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテは避け、十分に加熱されたものを食べるよう心がけましょう。

妊婦のチーズについて、詳しく知りたい方は「妊婦のOK・NGなチーズは?一覧表をもとに徹底解説!」の記事で詳しく解説しています。

1-2.生肉

妊婦が生肉を食べることで、トキソプラズマ症となるリスクがあります。トキソプラズマとは寄生虫の一種で、土の中やネコの糞、生肉に存在します。トキソプラズマは手や食品を介してヒトの口に入ることで感染してしまいます。

【トキソプラズマ症に感染するリスク】(*4)

妊婦が感染すると、胎盤を通して赤ちゃんにも感染します。
赤ちゃんの死産や流産、ほかにも、目や脳、臓器への影響(網脈絡膜炎、小眼球症、水頭症、小頭症、脳内石灰化像、肝脾腫など)が起きる可能性があることが知られています。
また、赤ちゃんが生まれた時に症状がみられなくても、成人になるまでに目や神経への影響(網脈絡膜炎やてんかん様発作、痙攣など)がみられることがあり、トキソプラズマの感染の影響はまだ十分にわかっていない部分が多いのが実情です。

トキソプラズマ症の予防対策として、米国疾病予防管理センター(CDC)では

 1)肉はよく火を通して調理すること
 2)果物や野菜は食べる前によく洗うこと
 3)食用肉や野菜などに触れたあとは、温水でよく手を洗うこと
 4)ガーデニングや畑仕事などでは手袋を着用すること
 5)動物の糞尿の処理時は手袋を着用すること

 などがあげられています。

生肉のタタキ、生肉の刺身、生焼けの肉、ローストビーフ、レアステーキなどの火が通っていない肉は避け、野菜や果物はよく洗って食べるようにしましょう。

1-3.アルコール

妊娠中にお酒を飲むことで、赤ちゃんへの影響がさまざまあることが知られています。胎児性アルコール症候群と呼ばれ、生まれた時の低体重、顔面を中心とする奇形・脳障害だけでなく、ADHDや成人後の依存症リスクなど広い範囲で影響があることもわかってきています。(*5)

【アルコールの量や時期に関する疑問】

「少量なら大丈夫?」
 →胎児性アルコール症候群は、お酒を飲む量が増えるとリスクが高まることもわかっていますが、少量の飲酒でも症例があります。“どのくらいまでならお酒を飲んでも大丈夫“などという基準は存在しません。

「妊娠●期なら大丈夫?」
 →妊娠中、どの期間でも赤ちゃんへの影響があります。妊娠初期の飲酒はリスクが高いと言われていますが、成長障害や脳の障害は妊娠中期~妊娠後期の飲酒が影響しているとされています。

以上から、妊娠中は一切お酒を飲まないことが推奨されています。妊娠を希望している方も、お酒をできる限り控えておく方がいいでしょう。

1-4.コーヒーなどカフェインの含まれる飲み物

コーヒーに含まれるカフェインは、大量摂取すると赤ちゃんへ影響があることがわかっています。

【カフェインを過剰摂取するリスク】(*6)

カフェインの過剰摂取により、胎児の成長遅延、出生児の低体重、早産、または死産と関連する可能性があると考えられています。
妊娠中は、カフェインが血液中から消失するスピードが遅くなるため、影響が大きくなるとされています。

大量摂取でなければ問題ないと考えられており、厚生労働省による「ママのための食事BOOK」では、「コーヒーは1日1~2杯程度までなら問題ない」とされています。

ただし、カフェインはコーヒー以外にも含まれているため、必要に応じてカフェインレスコーヒー(デカフェ)などを利用するのも良いでしょう。

コーヒーやそのほかの飲み物に含まれるカフェイン量や、どのくらいまで飲んで大丈夫か?という詳細については「妊婦だけどコーヒーが飲みたい!「1日2杯」のコーヒーを楽しもう」の記事で解説しています。

1-5.レバー、うなぎ

妊娠中にレバーやうなぎ、サプリメントなどに含まれるビタミンAを過剰摂取すると、赤ちゃんの影響が起きる可能性があることがわかっており、具体的には眼球、頭蓋、肺および心臓の奇形が知られています。(*7)

しかし、野菜に含まれるβ-カロテン由来のビタミンAであれば危険性は知られていません。

【ビタミンAの種類の違いによる影響】(*7)

・レチノール
 →妊婦が控えたいビタミンA。レバー、肉、魚、乳製品、サプリメントに含まれる。

・β-カロテン
 →赤ちゃんへの影響が心配ないビタミンA。色の濃い野菜に含まれる。

ビタミンAは赤ちゃんに必要な栄養素でもあるため、過剰摂取に注意し、野菜などから十分にビタミンAを摂取しましょう。

ビタミンAの影響や、食べ物について詳しく解説している記事は「妊婦のビタミンA|摂りすぎが心配!赤ちゃんへの影響と気を付けたい食べ物」をご覧ください。

1-6.大型の魚

大型の魚には水銀が多く含まれている可能性が高く、妊婦が食べすぎることで赤ちゃんへ影響を与えることがわかっています。(*8)

クジラやイルカ、マグロやメカジキなど大きな魚は、食物連鎖の関係で小さな魚をたくさん食べるため、水銀が体内に取り込まれやすくなっています。水銀は水俣病の原因として知られている有害重金属で、中でもメチル水銀は赤ちゃんの脳(中枢神経系)の発育の影響が考えられています。(*9)

【注意が必要な魚の例】(*8)

マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、鯨類(鯨、イルカ)…など

【注意しなくても良い魚の例】

サンマ、イワシ、サバ、ツナ缶、タイ、ブリ、カツオ…など

詳しい量、種類などは厚生労働省のパンフレットを参考にしてください。

2.この食べ物は大丈夫?

次は、「この食べ物は大丈夫?」妊婦さんに不安に思われることが多い食べ物をピックアップしました。

食べ物解説
人工甘味料妊婦さんへの安全性ははっきりとはわかっていません。とり過ぎに注意が必要です。
はちみつ1歳未満の乳児は摂取できませんが、妊婦さんは問題ありません。
生卵食中毒のリスクあり、妊娠中はなるべく避けた方が良いでしょう。
ノンアルコールビール種類によっては微量にアルコールが含まれるものもあるため、0.00%と表示されているものを選びましょう。
エナジードリンクカフェインがたくさん入っているものがあり、妊娠中は避けましょう。
ひじき毎日続けて食べたり、大量摂取したりするのは控えましょう。

では詳しく見ていきましょう。

2-1.人工甘味料

人工甘味料による妊婦さんへの影響はわかっていないのが現状で、「とり過ぎないこと」に注意するといいでしょう。

アスパルテームやアセスルファムカリウム、スクラロースなどの人工甘味料と呼ばれるものは、ジュースなどの飲み物から、ゼリーやスイーツ、お菓子類に多数使われています。

人工甘味料は化学合成によって作られ、“天然甘味料”である砂糖に比べ、甘さが数百倍もあるため使用量を抑えたり、カロリーを抑えたりすることができます。

日本では人工甘味料について、 “一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日摂取許容量(ADI)を超えることがない”という使用基準が設けられています。(*10)

妊婦さんへの影響はまだわかっていないため、一般の方と同じようにとり過ぎに注意し、なるべくなら自然の食品を選ぶようにすると安心でしょう。

【ポイント】

人工甘味料が使われている「カロリーオフ」「カロリーゼロ」の飲み物やゼリー、お菓子は毎日続けて食べるのは避けておく。

2-2.はちみつ

はちみつは妊婦さんが食べても問題ありません。

はちみつにはボツリヌス菌という細菌が存在していることがあり、1歳未満の赤ちゃんには与えないよう注意が必要です。ですが、腸内環境が整う1歳以上であれば、ボツリヌス菌よりもほかの腸内細菌が勝つため、摂取に問題はありません。(*11)

妊婦さんが食べても安心ではありますが、はちみつのとり過ぎは糖質の摂り過ぎに繋がり、体重管理に影響してしまうことも。食べすぎには気を付けましょう。

【ポイント】

はちみつは食べても問題ないが、糖質の摂り過ぎになるため食べ過ぎには気を付ける。

2-3.生卵

妊娠中は生ものは避けておいた方が安全です。生卵にはサルモネラ菌という細菌が付着・繁殖していることがあり、食中毒の原因となります。

特に妊娠中は免疫力や抵抗力が下がってしまうため、食中毒になるリスクは一般の方より高いものです。農林水産省からも妊娠中の方は生卵を避けるよう注意喚起されています。(*12)

【ポイント】

妊娠中は抵抗力が下がりやすいため、生卵などの生ものは避けておく。

2-4.ノンアルコールビール

妊婦さんは「アルコール0.00%」と表示されたノンアルコールビールを選びましょう。ノンアルコール飲料とは、アルコール含有量が1%未満の飲料を指す(*13)ため、微量にアルコールが含まれているものもあります。

本当にアルコールが含まれていないものには、「アルコール0.00%」などとわかりやすく表示されています。妊娠中にノンアルコールビールを飲むならこのようなものを選ぶと安心です。

【ポイント】

ノンアルコールビールはアルコールが微量に含まれているものがあるため、「アルコール0.00%」と表示されたものを選ぶ。

2-5.エナジードリンク

妊娠中のエナジードリンクはNGです。エナジードリンクにはカフェインが多く含まれているものがあるためです。

最近ではコンビニやドラッグストア、自動販売機などで気軽にエナジードリンクを手に入れることができるようになっており、一種のムーブメントにもなっています。

ですが、エナジードリンクに含まれるカフェインにより、カフェイン中毒での死亡例も報告されているほどです。(*14)

妊婦さんはカフェインを多量にとらないように注意が必要ですので、妊娠中はエナジードリンクは避けておきましょう。

【ポイント】

エナジードリンクはカフェインを多く含むため、妊娠中は避ける。

2-6.ひじき

ひじきにはヒ素が含まれるため、妊娠中でなくても大量に食べることは勧められていません。毎日、46.5g以上のひじき(水に戻した状態)を続けて食べると、ヒ素をたくさん摂ってしまう可能性があります。

厚生労働省によると、毎日乾燥ひじき4.7g(一週間当たり33g)以上を継続的に摂取しない限り、ヒ素のPTWI(暫定的耐容週間摂取量)を超えることはない、とされています。(*15)これは、水に戻した状態のひじきで考えると46.5gとなります。

ただし、食品安全委員会のHPには、ひじきは水戻しや水洗い、茹でることでひじきのヒ素が水に溶けだし、無機ヒ素の38~96%が除去されるという報告に関しても記載があります。(*16)そのため、気にしすぎる必要は少ないかとは考えられますが、ひじきを毎日続けて食べたり、大量に食べたりしないように気を付けておくと安心ですね。

【ポイント】

ひじきにはヒ素が含まれるが、調理により減ることがわかっている。毎日続けて食べないこと、大量に食べないことに気を付ける。

 

 

この記事では、妊娠中に避けたい・量に気を付けたい食べ物について解説しました。

絶対にNGな食べ物以外は、とり過ぎないようにすれば問題ないものがほとんどです。バランスよく食べて、元気な赤ちゃんを迎えられる準備をしましょう。

 

【参考・参照】

(*1)厚生労働省 これからママになるあなたへ<https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/ninpu.pdf>
(*2)食品安全委員会 【読み物版】 妊娠時に特に注意すること その2 平成28年1月29日配信<https://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2801_r2.html>
(*3)厚生労働省 「リステリア」による食中毒 に注意してください。<https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000070272.pdf>
(*4)公益社団法人 日本産婦人科学会 ト キ ソ プ ラ ズ マ と 母 子 感 染<http://www.jaog.or.jp/about/project/document/先天異常部より-トキソプラズマと母子感染/>
(*5)厚生労働省 eヘルスネット 胎児性アルコール症候群<https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-015.html>
(*6)食品安全委員会 食品中のカフェイン<https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf>
(*7)厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』 eJIM ビタミンA<https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/13.html>
(*8)厚生労働省 これからママになるあなたへ<https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/100601-1.pdf>
(*9)日本生活協同組合 魚介類・鯨類の水銀についてのQ&A<https://jccu.coop/food-safety/qa/qa02_02.html>
(*10)内閣府 食品安全委員会 人工甘味料の安全性について<https://www.facebook.com/cao.fscj/posts/2138720283010525/>
(*11)厚生労働省 ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。<https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html>
(*12)農林水産省 卵による食中毒に注意しましょう!<https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/egg.html>
(*13)厚生労働省 eヘルスネット ノンアルコール飲料<https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-060.html>
(*14)農林水産省 カフェインの過剰摂取について<https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html>
(*15)厚生労働省 ヒジキ中のヒ素に関するQ&A<https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0730-1.html>
(*16)食品安全委員会 ヒジキに含有されている無機ヒ素について<http://www.fsc.go.jp/fsciis/questionAndAnswer/show/mob07009000005>

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