葉酸のサプリはたくさん種類があって、どれを選べばよいかわからないですよね。
利用するなら安全なものがいい、効果があるものがいいというのが本音ではないでしょうか。
残念なことにインターネットでは、宣伝のために偏った情報が非常に多く流れています。
そこで、私たち医大生で、医学書や医学論文、厚生労働省の報告などをもとに、公正な立場で葉酸のサプリの選び方をわかりやすくまとめました。
安全で効果的に葉酸サプリを活用するために、ぜひ知識をつけて、葉酸サプリを選びましょう!
目次
1.安全な葉酸サプリの正しい選び方
厚生労働省の報告や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、公正な立場での葉酸のサプリメントの選び方を私たちなりに決定いたしました。
- 葉酸の栄養機能食品の基準を満たしている商品を選びましょう。
- 妊婦さんは葉酸サプリは最終手段です。食事・加工食品から葉酸を摂取するよう心がけましょう。
- 魅力的な言葉(天然由来だから安全、厚生労働省が推奨している、等)に気をつけましょう。根拠がないものが大半です。
- 製造元、製造過程(GMP準拠)がしっかりしているメーカーの商品を選びましょう。
- 根拠のない効果を売りに宣伝している商品は避けましょう。
これら5つのポイントをしっかりと守っていただければ、安全に葉酸サプリと向き合えるのではないかと思います。
それぞれについて少し詳しく説明していきます。
1-1.葉酸の栄養機能表示について
葉酸は、国が定めた摂取量の基準を満たせば、栄養機能食品として表示することができます。
栄養機能表示の摂取量は、医学的な実験等に基づき、安全に摂取できると考えられている量です。この量を超えると、副作用などの可能性が上昇します。
わざわざ、国が安全基準として定めている摂取量を超えるサプリメントを利用するのは、安全面から考えてもおすすめしません。必ず、葉酸の栄養機能食品として表示されているものを選びましょう!
葉酸の栄養機能食品として表示できる基準と注意点
国が認めている葉酸の栄養機能と安全な摂取量についてお話します。
1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量 | 栄養機能表示 | 注意喚起表示 | |
---|---|---|---|
下限値 | 上限値 | ||
60μg | 200μg | 葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。 葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。 | 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。 葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育が良くなるものではありません。 |
消費者庁「栄養機能食品」より引用
特に200μgが上限値であることは押さえておきましょう!これを超えるサプリメントは非常に多いです。注意しましょう。
妊婦さんの場合、厚生労働省は栄養補助食品等で400μg摂取することが推奨されています。栄養補助食品はサプリメントだけではなく健康食品等も含みます。しかし、妊婦さんでの場合、サプリでの摂取は、厚生労働省は推奨しておりません。(厚生労働省:健康食品の正しい利用法)そのため、食事の形の栄養機能食品と、食事での摂取を組み合わせて400μg摂取するのが良いでしょう。
葉酸のサプリメントの中には、他のビタミンなどで栄養機能食品に合致していることから、安全を謳っている商品も多数見受けられます。必ず”葉酸の”栄養機能食品かチェックするようにしましょう。
1-2.妊婦さんではサプリメントは最終手段!
国立健康・栄養研究所や厚生労働省の資料でも言われていますが、妊婦さんの場合、サプリメントは基本的に摂取すべきではありません。
理由は二つあります。
- 赤ちゃんにどのような影響か判断できるデータが少なく、安全性を確認できない
- トクホ(特定保健用食品)で表示が可能なのに、国の審査に合格した商品は一つもない
ということです。少し詳しくお話しようと思います。
赤ちゃんにどのような影響か判断できるデータが少なく、安全性を確認できない
倫理上の問題で妊婦さんで安全性の実験を行うことはとても難しいです。そのため、研究データが少なく、サプリメントが赤ちゃんにどのような影響を及ぼすのかはっきりわかっていません。
特に、個別の商品については、臨床実験を行うのは非常に難しい状態にあり、安全とは言えない現状です。安全だと確認されていないものを積極的にとるのは避けるべきというのが私の意見です。
葉酸は、栄養素として妊婦さんに必要な栄養素であるのは間違いありません。できるだけ、食事や食事の形をした加工食品から葉酸を摂取し、サプリメントは最終手段にしておきましょう。
トクホで表示が認められているのに、審査に通った商品は一つもない
実は、葉酸は国の審査に合格すれば、トクホ(特定保健用食品)の表示ができます。内容としては、赤ちゃんの生まれつきの病気(神経管閉鎖症害)のリスクを低くできる。というものです。
葉酸のトクホでの表示
この食品は葉酸を豊富に含みます。適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。
厚生労働省「特保(特定保健用食品)とは?」
しかし、残念ながら今のところ国の審査に合格した商品は一つもありません。このようなものは、トクホの中でも葉酸ぐらいのものです。
理由としては、過剰摂取の危険性があることや、安全性に問題があることが挙げられています。このことを考えても、妊婦さんでは安易にサプリメントを利用するべきではないのではないでしょうか。
1-3.魅力的な言葉に要注意!
商品の宣伝ページには魅力的な言葉で、購買欲をかきたてるものが多いです。特に以下の4つの表現には要注意です。
- 天然成分由来だから安全
- 厚生労働省推奨!
- 「美容成分配合」「○種類のビタミン・ミネラルを配合」といった他の成分の配合
- 「○○セレクション金賞」「○○ランキング1位」といった表現
天然成分を使っているから安全というわけではありません
イメージ的には、天然成分の方が安全だと思いになるのではないでしょうか。実は、天然由来成分が安全だという根拠はどこにもありません。それどころか
- アレルギーの原因になりやすい
- 産地や天候の影響を受けやすく品質が一定ではない
- 有害物質などが除去されていないことがある
といったような問題点すらあります。過剰に天然成分だから安全だという広告については信用しない方が良いでしょう。
厚生労働省が個別に推奨しているサプリはありません
厚生労働省が個別に推奨しているサプリメントはありません。
特定保健用食品についてのみ、国の審査のうえで健康のために利用できるとして許可していますが、それ以外の商品を推奨していません。また、葉酸に関しては特定保健用食品の審査を合格した商品はありません。
厚生労働省推奨という表現の葉酸の商品を見かけたら要注意しましょう。
美容成分配合!、○種類のビタミン・ミネラルを配合!の罠
さまざまな成分が入っているとお得なように感じるのではないでしょうか?しかし、サプリメントにおいては複数の成分が配合していない方が良いです。それには2つの理由があります。
- 成分どうしの相互作用による副作用の可能性がある
- 副作用が起きた場合、どの成分によるものか病院での特定が困難
押さえておいてほしい事としては「サプリメントで摂取する成分が多い=安全性が下がっていく」ということだけ押さえておきましょう。
受賞歴や人気no.1などは安全性や商品の有効性を示す指標ではありません
○○セレクション金賞受賞、○○ショッピング1位といった宣伝文句の元、だから安全だといったような誤解を生む商品は多いです。
しかし、受賞歴や人気は安全性や有効性とは無関係です。
1-4.製造元、製造体制がしっかりしているところを選ぶ
製造元や製造体制については、GMPマークを目印に選ぶのが良いでしょう。
GMPとは、適正製造規範(good manufacturing practice)のことで、医薬品等の製造品質管理基準のことです。GMPマークの付いた製品は一定の品質が確保されています。そのため、GMP表示のされている製品を選ぶようにしましょう。
GMPを遵守している製品では以下のマークが表示されています。
1-5.根拠のない効果を売りにしている商品は絶対に避ける
葉酸の効果として科学的な根拠があるのは以下の4つだけです。
- 葉酸欠乏症の予防
- 葉酸欠乏が原因の貧血の予防
- 赤ちゃんの生まれつきの病気(神経管閉鎖障害)の予防
- 高ホモシステイン血症の治療(これを目的にサプリを利用してはいけません)
これ以外の効果を売りにしている商品は絶対に避けましょう!悪質な商品の可能性があります。
2.具体的な目的別オススメの葉酸サプリや健康食品
2-1.赤ちゃんの生まれつきの病気を予防したい場合
妊婦さんや妊娠が考えられる女性では、まず食事の充実、次に加工食品からの摂取、どうしても足りない場合は医師の判断のもとサプリメントの摂取とするべきです。
赤ちゃんへの影響がはっきりとわかっていないサプリメントを避け、食事の形で摂取することで葉酸の過剰摂取による副作用を防ぐためです。サプリメントが最終手段である詳しい理由は、1-2.妊婦さんではサプリメントは最終手段!でお話しましたので、見返すとよいでしょう。
おすすめの加工食品
葉酸の過剰摂取による副作用を防ぎ、安全に葉酸を摂取するために、妊婦さんは食事の形をした加工食品を摂取することが望まれます。
葉酸の加工食品としては葉酸ヨーグルト、葉酸牛乳、葉酸たまご、葉酸米などがあります。
私のおすすめとしては「新玄 葉酸米」が良いのではないかと思います。
- お米は毎日食べるので、日々続けやすい
- 栄養機能表示の基準を満たしている
- 具体的な含有成分量が記載されている
- 大手メーカが販売している
という4つがお勧めする理由です。
おすすめのサプリ
葉酸のサプリについては、基本的に産婦人科の医師と相談のうえで推奨された商品を利用しましょう。
インターネットで医師が推奨しているものもありますが、おすすめしません。個人の体質やライフスタイルは人それぞれです。そのため、直接あなたの体の状況を知っている医師の判断のもと、摂取しましょう。
なかには自分で選ぶように言われる場合もあるかと思います。その場合は2-2.栄養を確保し、健康を維持する目的の場合で紹介しているサプリメントが良いのではないかと思います。
2-2.栄養を確保し、健康を維持する目的の場合
健康維持を目的とする場合では、葉酸の栄養機能食品の基準を満たしていることが最重要の判断ポイントとなります。そういった商品を選ぶことで葉酸欠乏症や過剰摂取による副作用を回避しやすくなります。
先ほど説明した基準に基づき、「小林製薬の栄養補助食品 葉酸」が良いかと思います。
- GMP準拠で一定以上の品質が保障されている
- 栄養機能食品の基準を満たしている
- 余分な栄養素を含まない
- 過剰な宣伝文句や誤解を生む表現が書かれていない
というのが選んだ理由です。
2-3.貧血の予防を目的にする場合
基本的に、巨赤芽球性貧血という診断を病院で受けたことがある人以外は、葉酸だけでなく鉄分を摂取した方が良いでしょう。というのも、貧血の85%以上が鉄欠乏性の貧血だからです。
巨赤芽球性貧血の場合は医師の判断のもと
巨赤芽球貧血だと診断され、治療したい場合はサプリメントは自己判断で摂取してはいけません。
サプリメントは基本的に病気の治療に不向きだからです。必ず、医師・管理栄養士の指示に従うようにしてください。下手に自己判断で摂取すると、薬との相互作用により悪化する可能性もあります。
一般的な貧血の人は鉄も含むサプリ
特に診断を受けたわけでもなく貧血を予防したいという方は、葉酸だけでなく、鉄分、ビタミンB12を含むサプリメントを選びましょう。栄養不足が原因となる成分はこの3つであり、特に鉄欠乏性の貧血が最も多いです。
栄養機能食品の基準を満たす、小林製薬の栄養補助食品 ヘム鉄 葉酸 ビタミンB12が良いのではないかと思います。
- 3つの栄養素すべてで栄養機能食品の基準を満たしている
- GMP準拠で一定以上の品質が保障されている
- 含有成分の詳細が記載されている
- 過剰な宣伝文句や誤解を生む表現が書かれていない
というのが選んだ理由です。
3.葉酸サプリメントの安全で効果的な活用法
葉酸のサプリメントを安全かつ効果的に利用する方法を解説していきます。
- 副作用を知っておき、体調が悪くなったらすぐに中止して病院へ!
- 用量・用法を必ず守ろう!過剰摂取してはいけません
- 薬を飲んでいる人は必ず医師と相談を!治療に影響が出ることもあります
3-1.葉酸の副作用
推奨量(200~480μg/日)の摂取ならほとんどの人で安全です。
しかし、過剰摂取や一部の人で、下痢、発疹、気管支痙攣、喘息、睡眠障害、胸やけなどの副作用が考えられています。
特に、長期間過剰摂取すると、命にかかわる病気(心臓発作、肺がん、前立腺がん)の危険性が上がることがアメリカの栄養データベース(Natural Medicine database)により指摘されています。
3-2.用量・用法を必ず守ろう!
大量に摂取したからといってより健康になれるわけではありません。むしろ、過剰摂取による副作用の危険の可能性があります。
必ず用量用法を守るようにしましょう!
3-3.薬を飲んでいる人は必ず医師と相談を!
葉酸は一部の薬と相互作用を示すことが指摘されています。それにより、病気の治療が遅れたり、病状が悪化したりする可能性があります。
薬を飲んでいる人は必ず事前に医師と相談してください。
相互作用が考えられている代表的な薬
- 抗がん剤(フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキサート)
- 抗てんかん薬(ホスフェニトイン、フェニトイン、ピリミドン)
- 抗不安薬(フェノバルビタール)
- 抗マラリア薬(ピリメタミン)
4.まとめ
葉酸のサプリについて選び方やオススメサプリ、安全な利用法を説明してきました。
特に、妊婦さんにとってはおなかの赤ちゃんにも関わることですので、安全を重視してほしく思います。
また、一般の方でも栄養機能食品の基準に合致していて安全な商品を選ぶようにするのが良いでしょう。
この記事を読んで、適切に葉酸のサプリを利用できるようになっていただけたら幸いです。
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