亜鉛は精力の回復に本当に効果があるのか気になっていませんか?
私たち医大生で亜鉛と精力の関係について、医学論文や専門書を調べ尽くしました。その結果、残念なことに亜鉛に精力回復に効果があるという研究結果は見つかりませんでした。
精力の回復については、科学的に根拠のある方法や、効果の可能性が考えられている方法があります。精力を回復するためには亜鉛を摂取するよりも、しっかりと科学的根拠のある方法でするのが良いというのが私の意見です。
この記事では亜鉛と精力の関係性だけでなく、科学的な根拠のある精力の解決法を説明しました。
ぜひ実際に行動に移し、満足のいく性生活を取り戻してください。
目次
1.亜鉛は精力に良い根拠はない
アメリカの栄養データベース(Natural Medicines Comprehensive Database)、世界中の医学論文が検索できるサイト(pubmed)で亜鉛と精力に関する関係性を示す論文や実験データを調べました。その結果、良質な実験(RCT、メタアナリシス)で効果があるという報告は見られませんでした。
今現在のところ、亜鉛が精力に良いという研究結果はありません。そのことを考えると、効果の可能性が科学的に指摘されているもの、効果があることが科学的に認められているものを選択することをお勧めします。
2.すぐに効果がある、科学的な精力回復の方法
科学的に効果があると認められているものは、有名なバイアグラをはじめとしたレビトラ、シアリスといった薬です。これらを利用することが、間違いなくベストチョイスです。
しかし、病院に行くほどでもないかなとお思いの方もいるでしょう。そんな方にはL-アルギニンを摂取することを勧めます。確実に効果があるとは言えません。しかし、効果がある可能性を示す研究結果が存在します。
この項目では
- バイアグラ等の用法や安全性、効果の程度
- Lアルギニンの根拠と多く含む食事
- バイアグラ等とL-アルギニンを値段や効果の観点からの比較
を解説していきます。
2-1.ベストチョイスはバイアグラ・レビトラ・シアリス
再三申し上げますが、バイアグラ・レビトラ・シアリスといった病院で処方される3剤のいずれかを利用するのが精力回復への最短ルートです。
信頼度の高い実験による非常に多くの研究で有効であることが認められてます。その上飲むだけで解決するという手軽さまで兼ね備えているので非常にお勧めです。デメリットとしては、病院に行くのが恥ずかしい、1錠1000〜2000円という費用がかかるということでしょう。
とはいうものの、今ではED専門外来もあり、日本では約100万人が利用しています。また、周りの人にばれる心配もありません。あなたのなやみの程度にもよりますが、真剣に悩んでいるのならばこれら3剤を利用することを強く勧めます。
この項を読み、3剤の使い分けや副作用、正しい使い方などを解説しました。
2-1-1.科学的根拠
これら3剤は非常に信頼性の高い科学的根拠が示されています。
バイアグラは11のランダム化比較試験において3000人の実験を行い、12週間摂取させた結果改善したというものは76%、重症EDでの患者群でも65%の改善が見られた。現在では世界中で2000万人以上で処方されている。
レビトラでは9つのランダム化比較試験で4286人を対象にした試験で、12週間の摂取の結果、69%が改善したという報告がある。2年間の長期試験でも479人において90-92%でEDが改善した。
シアリスでは5つのランダム化比較試験で1112人の患者において41~81%で改善が見られた。
(参考文献:日本性機能学会 ED診療ガイドライン)
2-1-2.3つの薬の使い分け
バイアグラ・レビトラ・シアリスはそれぞれ特徴があり、場合に応じて使い分けることができます。あなたの目的に合わせ、どれを処方してもらうべきか選択すると良いでしょう。
バイアグラ | レビトラ | シアリス | |
---|---|---|---|
飲むタイミング | 性行為1時間前 | ||
効果の時間 | 5時間程度 | 10mg:5時間 20mg:10時間 | 10mg:20~24時間 20mg:30~36時間 |
効果 | 短時間ではあるが効果が非常に強い | バイアグラより効果は弱いが効果が強い | 他二つに比べ効果は緩やかだが、長時間作用する |
注意事項 | 食事のすぐあとは効果半減。食後2時間後がおすすめ | 高脂肪食を食べたあとでは効果半減。食後2時間後がおすすめ | ほとんど食事の影響を受けない |
効果時間が長いことを心配する方もいるかと思います。しかし、性的刺激に反応して勃起が得られるものであるので、性的刺激がないと勃起は起こりません。そのため、持続性勃起障害等になることはまれです。
上記の表を参考に、使いたい場面に応じてどれを使うか選択しましょう。
2-1-3.副作用
3つとも副作用がほとんどない安全な薬として認識されています。しかし、いくつか注意が必要な場合があります。安全に利用するために必ず副作用については認識しておきましょう。
バイアグラ等を使ってはいけない方がいます。
- 狭心症などに用いられる硝酸剤を飲んでいる方
- タムスロシンやテラゾシンといった降圧剤を使用している方
これらの方はバイアグラ等の薬を飲むことは非常に危険であるため禁止されています。さらに詳しく薬剤名まで見たい方はED治療薬併用禁忌一覧を参照してください。
また、軽度ではあるものの、頭痛、消化不良、顔が赤くなる、視覚異常などが確認されています。あくまで一過性であるので、すぐに解決します。
2-1-4.使い方の間違いが効果がない原因
バイアグラ等を使ったのに効果がない!という方ももちろんいらっしゃいます。しかし、それはもしかしたら使用方法が間違えているのかもしれません。
というのも、バイアグラ無効であったとの報告をした患者236人で、正しい使い方を教育した結果98人(42%)が有効になったという報告がされています。
ありがちな間違えた使い方として
- 食事の後の摂取
- 数回しか試していない(最低でも4回ほどの内服が必要であるケースもある)
- 性的刺激なし
- 飲むタイミングの間違い
- 用量を自分の判断で半分以下にしてしまう
等が挙げられます。
効果がなかったという方は、自分がこれらに当てはまらないかぜひ確認してほしくおもいます。無効であった人の半分は正しい使い方をすることで有効になります。
2-1-5.バイアグラの個人輸入は非常に危険!
バイアグラの個人輸入による健康被害が多く報告されています。
ファイザー、日本新薬、バイエル薬品、日本イーライリリーの4社による偽造ED治療薬の調査によると、インターネット流通の約56%が偽造品でした。
また、それらの偽造ED治療薬による健康被害として、低血糖による昏睡などの有害事象が報告されています。2008年5月の段階で確認できた患者数40人、疑いのある患者数87人、うち4人が死亡しています。
バイアグラの個人輸入は非常に危険です。必ず病院で処方してもらいましょう。「ED外来 ○○(地域名)」等で検索するとすぐに出てきます。
2-2.効果があるかもしれない!L-アルギニン
病院に行くほどではないと思うものの、気になるのでサプリなどで手軽になんとかしたいという方もいるでしょう。
その場合はL-アルギニンを使うことをおすすめします。
信頼性の高い試験で、L-アルギニンはEDに効果があることが報告されているからです。しかし、効果がなかったという研究ものもあり、まだ、完全に効果があるとは言えない現状です。
また、L-アルギニン以外にも
- L-シトルリン
- エビオス錠
- マカ
といった、民間で効果があると言われているものに関しても科学根拠を論文等で調べました。しかし、これら3つは十分な科学的根拠は見当たりませんでした。
そのため、他3つを摂取するよりはL-アルギニンの方が良いと思います。
2-2-1.L-アルギニンの科学根拠
L-アルギニンはまだ、完全に効果があるとは言えません。また、効果の可能性があるのは5g/日以上の摂取によるものであることは抑えておいて欲しく思います。
EDの患者50人をプラセボ群とL-アルギニン摂取群にわけ、L-アルギニン摂取群では5g/日を6週間投与した。その結果、投与群29人のうち9人(31%)で勃起不全の改善が見られた。(プラセボ群では11%)また、これ以下の濃度では効果がなかった。
また、アメリカで最も信頼度の高い栄養成分データベース(Natural medicine comprehensive database)では勃起不全の解消に対し、効くと断言できないが、効果がある可能性があると指摘しています。
しかし、クリニカル・エビデンスという、英国医師会出版のエビデンス集での実験によると、複数のランダム化比較試験でL-アルギニン投与群と何もしなかった群の間で差が見られなかったという報告がされています。
これらのことから考えると、L-アルギニンは効果の可能性はありますが、確実とは言えません。効果があるとしても5g/日であることにも注意が必要です。
2-2-2.L-アルギニンの副作用
短期間経口摂取する分においては、アルギニンは安全と考えられています。しかし、過剰摂取の際に腹痛、下痢、痛風などが起こることもあるようです。これらが出た際には一度服用をやめましょう。
2-2-3.アルギニンを5g/日摂取するために
L-アルギニンを多く含む食品を紹介します。主に大豆製品、肉、魚などに多く含まれます。
食品名 | アルギニン(mg/100g) |
---|---|
湯葉 | 4400 |
かつお節 | 4300 |
高野豆腐 | 4100 |
落花生 | 3200 |
きな粉 | 2800 |
そら豆 | 2400 |
カシューナッツ | 2300 |
クルマエビ | 2000 |
鳥むね肉 | 1500 |
豚ロース | 1500 |
また、なかなか食事から5g/日のL-アルギニンを摂取するのは難しいです。サプリメント等を見てもNOWのサプリメントでは10粒、The GOLDやFORCEなどのEDに効果的としているサプリでは30粒ほど飲まなくては5gに到達しません。
そのため、どれか一つおすすめするとしたら、ドクターズチョイス社の「Lアルギニン5000プラス」をおすすめします。1杯分飲むだけで5g摂取できます。
2-2-4.あくまで効果があるかもしれない程度であることを忘れずに
これまで、L-アルギニンを摂取することによるED治療へのアプローチをしてきました。とはいうものの、L-アルギニンはあくまで「効果があるかもしれない」程度であることを忘れないでほしくおもいます。
2-3.L-アルギニンとバイアグラ等を比較してみた
簡潔にわかりやすく、L-アルギニンとバイアグラを比較してみました。バイアグラ等は科学的根拠があり、使い勝手が良く効果がわかっていることが強みで、L-アルギニンは1回分の費用が安く、手軽に入手できるのが利点である。
バイアグラ等 | L-アルギニン | |
---|---|---|
効果があるか | 約70%の人で効果があることが科学的にわかっている | 科学的根拠は十分ではないが、約30%の人で効果があるという報告がある |
効果時間 | 5時間程度のものから36時間程度のものまで選べる | 不明(実験がされていない) |
効果の程度 | 非常に強いものから緩やかなものまで選べる | 不明(実験がされていない) |
費用(1回分) | 1000円〜2000円 | 200円程度 |
買える場所 | 病院のみ | 通販やドラッグストア |
副作用 | ほとんど存在しない。軽度の消化不良や頭痛など | ほとんど存在しない。下痢・腹痛・痛風など |
病気がある人 | 狭心症で硝酸剤を使ってる人、降圧剤を使っている人では禁止 | 心筋梗塞になったことがある人では禁止 |
3.精力のなやみを吹っ飛ばす4つの根本的解決
EDの原因は自分の生活習慣を改善することで解決できるものがほとんどです。それらの原因を根本的に解決できたら薬に頼らずとも、自然に性生活を楽しめるようになります。
自分でなんとか解決できるEDの原因として
・肥満や運動不足
・喫煙
・ストレスや心理的なものが原因の場合
が挙げられます。
これらにあたる方は以下の対策を試してみてほしくおもいます。
3-1.肥満をはじめとする生活習慣病対策
肥満をはじめとして運動不足の場合では動脈が硬くなってしまうことで血流が弱まり、EDになると考えられています。この場合、普段の生活に運動を取り込むこと、食事を管理することが大事になってきます。
日常に運動を取り込むというと、自転車などで買い物しているところを歩いてみる、駅などでエスカレーターを利用しないなどそのような簡単なことで良いでしょう。それらをするだけでも少なくとも毎日30分くらいは体を動かすことになります。単純に運動不足の方はこれを実践しましょう。
肥満の場合は体重を落とすことも非常に重要です。そのためには食事制限が非常に大切です。カロリーを1日1000〜1800kcalになるよう、毎日記録しましょう。食べながら痩せるといった夢のような方法は残念ながら存在しません。面倒ではあるかもしれませんが、EDを治療するために頑張ってみてほしくおもいます。
3-2.確実に禁煙するための具体的手段
タバコはEDになる原因として重大なものとして考えられています。禁煙するのは容易なことではありませんが、禁煙を続けたらEDが改善する可能性があります。ぜひこの機会にたばこをやめることにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
3-2-1.禁煙補助の方法を使う
ニコチンには依存性があり、禁煙すると言ってもそう簡単にできないのが現実です。そのため、禁煙補助薬などを使うのを強くおすすめします。禁煙補助薬を使うと普通に比べ遥かに禁煙しやすいことが科学的にわかっています。
代表的なものはバレニクリン・ニコチンガム・ニコチンパッチです。どれも医学論文で科学的に効果があることが示されています。ガムや飲み薬、皮膚に貼るものとそれぞれ使い方が違うので、自分の使いやすいものを選んでほしくおもいます。
特にバレニクリンは非常におすすめです。病院で処方してもらわなくてはなりませんが、ほかの2つに比べ治療後の禁煙の維持率が高く、普通に禁煙した場合よりも3倍禁煙しやすいことが明らかになっています。
3-2-2.禁煙のためにするべき具体的な4つの行動
禁煙補助薬を使うだけでなく、行動を変えることで禁煙は成功しやすくなります。どのために周りを巻き込むことは非常に重要です。具体的なすべきことをお伝えします。
- 禁煙する日を決める(1週間以内)
- 家族・友人・同僚に禁煙することを話す
- 禁煙をはじめたら1本も吸わない(禁煙時期に吸うとさらにニコチン中毒の度合いが増す)
- アルコールを避ける(再開の原因になりやすいことがわかっている)
必ずこれらをするようにしましょう。それだけで禁煙の成功率が桁違いに上がります。
3-3.ストレスや心理的なものが原因の場合
ストレスや心理的なものが原因の場合で最も多いのは、ストレスなどでうまく性行為ができなかったことが一つの不安になりEDとなるものです。これはED 治療薬を服用して性行為が数回うまくいくと、それが自信となり、その後は ED 治療薬なしでも、性行為がうまくいくこともよくあります。
それ以外のストレスなどが原因の場合はパートナーと相談しながら2人3脚でストレスの改善を目指すことをおすすめします。もちろんメンタルヘルスの専門家等に通うことも必要な場合があるが、それにしてもパートナーの協力が必要不可欠です。恥ずかしがらずに、パートナーにEDのなやみを打ち明けましょう。
4.満足のいく性的関係を回復するために
これまで精力を回復する方法を解説してきました。すぐに効果があるものだけでなく、根本となる原因を取り除くことも意識して改善を目指してほしくおもいます。
ここでお伝えしたことはどれもすぐにでもできることばかりです。今日からでも実際に行動に移してほしくおもいます。そうしたら精力のなやみを解決する日はそう遠くないでしょう。
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