妊娠後期の食事量これで大丈夫?食べられない2つの原因と対策を紹介

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妊娠後期は妊娠前よりプラス450kcalの食事が必要になります。体重管理に悩む妊婦さんもいる一方で、お腹が大きくなるにつれて「胃が圧迫される」あるいは「消化器症状があって」食べられない妊婦さんの割合も増えていきます。

食べられない妊婦さんの中には「妊娠後期に十分に食べられないと、赤ちゃんが成長しないのでは?」と不安に感じる方もいるようです。

この記事では、食べられない事による赤ちゃんへの影響、食べられない原因や対策について解説します。妊娠後期から出産に向けての不安を解消し、少しづつ栄養のある食事ができるようになるといいですね。

妊娠後期に食べられなくなる原因はこの二つ

妊娠後期に食べられなくなるのは主に「ホルモンの影響」と「胃の圧迫」の二つが原因になっています。

1.ホルモンの影響による消化器症状

妊娠中は妊娠を継続するために、プロゲステロンと呼ばれるホルモンが増加します。このホルモンは、お腹の中で赤ちゃんが大きくなっても大丈夫なように、子宮の筋肉をゆるめてくれる働きがあります。

しかし同時に、消化管の筋肉も緩めてしまうという側面もあります。これにより胃・大腸の消化管運動が弱まるので、食べ物がスムーズに消化されず、胃がもたれて食べられなくなる人の割合が増えるのです。(*1)

また、同じ理由から便秘にもなりやすいです。便秘が続くと気持ち悪くなって食べられなくなる方もいるようです。

2.お腹が大きくなることによる圧迫感

妊娠後期は赤ちゃんがぐんと成長をする時期でもあります。子宮が大きくなって胃が押し上げられ圧迫感を感じるため、少し食べただけでお腹が苦しくなってしまいます。

ただ、臨月になると赤ちゃんが下の方に下がってくるので、胃の圧迫感は少なくなる人が多いようです。

理想の食事量がとれなくても赤ちゃんに栄養は届く

妊娠後期は妊娠前より450kcal分の食事量が必要とされます。それなのに食べられないと「赤ちゃんに栄養が届かないのでは?」と心配になりますよね。

でも、基本的には「理想の食事量がとれなくても赤ちゃんには栄養が届く」ようになっています。その仕組みから説明します。

栄養素は胎盤を通して常に赤ちゃんに運ばれる

妊娠中期には胎盤が完成します。母体と赤ちゃんとの物質の受け渡しは、胎盤を通じて常に行われています。受け渡されるのは、母体の血液中に含まれる酸素・栄養素・ホルモンなどです。(*1)

胎盤の機能が正常に働いていれば、いやおうなく栄養が運ばれるようになっていて、赤ちゃんは正常に発育することも示唆されています(*2)

赤ちゃんの発育のために栄養素の代謝が変化する

妊娠すると母体側の糖・脂質・蛋白質の代謝が赤ちゃんの発育を促すように変化します。たとえば、インスリンの効きを悪くして(インスリン抵抗性という)母体への糖の取り込みを少なくします。その結果、より多くの糖を赤ちゃんに供給できます。

また、母体の蛋白質を分解(異化という)して、赤ちゃんにアミノ酸をたくさん届けられるようにしています。(*1)

赤ちゃんの発育が遅くなる原因は?

妊婦さんにとって赤ちゃんの発育は一番気になりますよね。「食べれないと順調に育たないのでは?」と心配になるのも無理はありません。

しかし、赤ちゃんの発育が遅い「胎児発育不全」となる原因は、胎盤の機能が弱く栄養が届きにくい状態になっていたり、赤ちゃんが先天異常だったりと、いわゆる「不可抗力」によるものの方が多いです。(*3)

もちろん、長期間にわたり食べられないと、重度の低栄養を起こし発育不全の原因になることもあります。また、消化器などの病気が隠れていることもあります。その場合は医師のアドバイスに従ってください。

妊娠後期の「食べられない」を乗り切る方法

食べられなくても赤ちゃんに栄養が届くことはわかりましたが、それでもやはり、さまざまなリスクを避けるためには栄養をしっかり摂るに越したことはありません。ここからは、「食べられない」ときのの乗り切り方や、できるだけ楽に栄養をとる方法を紹介します。

妊娠後期に追加する食事量の目安は軽い1食分

はじめに、妊娠後期に追加する食事量の目安を説明します。厚生労働省によれば、妊娠後期は妊娠前の食事に加え450kcal分を増やすことを推奨しています。

増やすのは、軽めの定食形式のお食事です。妊産婦のための食事バランスガイドに掲載されている下記の表からそれぞれ一つづつ選ぶイメージです。

主菜豆腐・納豆・卵1個・肉1/3人前・魚1/2人前
副菜サラダ・お浸し・酢の物・キノコソテーなど
ご飯おむすび・ご飯小盛1杯・食パン1枚
乳製品牛乳コップ半分・チーズひとかけ・ヨーグルト(小)1パック
果物みかん1個・りんご半分・かき1個

たんぱく質・鉄・葉酸を意識的にとる

妊娠後期からは、たんぱく質・鉄を追加で増やし葉酸も引き続きとるようにします。鉄は動物性蛋白質の方が吸収しやすいとされています。脂身が多い肉は消化が悪く胃もたれしやすいので、脂身の少ない牛もも肉・豚もも肉・鶏むね肉などがおすすめです。

消化の良いものを少しづつ食べる

胃の圧迫感や消化器症状で食べられないときは、少量ずつ小分けして食べるのがおすすめです。妊婦さんは、消化管の運動がゆっくりになっているため、食べた物がなかなか消化されず胃に残る時間が長くなります。なるべく消化の良い食べ物を選び、お腹一杯にならない程度に食べるようにしましょう。

また、胃と食道の境にある括約筋が緩むため、胃液が食道に上がり炎症を起こすこともあります。痛みがあると辛いですし、食欲が減退する原因にもなってしまいます。食べた後すぐに横になるのは避け、椅子に座って休憩して逆流を防ぎましょう。

消化の良い食べ物 〇ささみ、半熟卵、白身魚、おかゆ、うどんなど
消化の悪い食べ物 △食物繊維の豊富なもの(ごぼう、玄米など)、油っこい物、脂身の多い肉…など

栄養をとりやすい1品メニューを選ぶ

「おむすび」や「そうめん」などの単品より、「雑炊」や「しらす丼」などの1品で栄養がとれるメニューにすれば、バランスがとりやすくなります。たくさんお皿を使わずに済むので、洗う手間も省けますね。

Cpicon アボカド・納豆・しらす&おろし丼 by スパ子

引用:クックパッド

しらす、納豆、アボカド、大根おろしで鉄分やたんぱく質が一度にとれるメニューです。胃もたれしそうならアボカドは抜いてもOKです。食べきれない時は半量ずつ食べてもいいですね。

Cpicon 簡単☆トマト缶でトマトリゾット by ぶーちゃん☆ママ

トマト缶とツナ缶を使い、葉酸やたんぱく質が摂れるリゾット。リゾットや雑炊などであれば消化も良く、食べやすい妊婦さんも多いのでは?豆乳や牛乳を使ったリゾットもカルシウムやたんぱく質が摂れるのでおすすめです。

料理がしんどいときは簡単メニューで

料理がしんどいときには、家族に頼る、コンビニ食を活用するのもOKです。簡単に栄養がとれるメニューや栄養補助食品の選び方について紹介します。

料理がしんどい時にはコンビニで揃えるのもアリ

料理をするのがしんどい時はコンビニで買ってもOKです。バランスガイドに掲載されている「納豆」「焼き魚」「ゆで卵」「サラダ」「お浸し」「おむすび」「ヨーグルト」「むきりんご」「牛乳」などは全てコンビニで揃います。

缶詰を使って1品増やす

魚の缶詰は手軽に魚の栄養が摂れる優秀食材です。料理がしんどい時は、これらを活用しましょう。

たとえば、サバ缶や鮭缶にわかめやネギを添えたり、缶の汁ごと一緒に炊いて炊き込みご飯にしたり。ツナ缶なら生野菜と豆の缶詰をトッピングしてサラダにすれば簡単に1品増やせます。

弁当を選ぶときは栄養バランスの良い物を

料理がしんどいときは弁当を買うのもOKです。弁当を選ぶ時には、主菜、副菜、ご飯が揃っているバランスの良いものを選ぶようにしましょう!

栄養補助食品は頼って大丈夫?

妊婦さんは栄養補助食品をとっても大丈夫でしょうか?結論から言うと、食べられない状態が少しでも改善されるなら活用してもよいのでは、と思います。

高齢者や病気で食事をとれない人向けの栄養補助食品は、薬局やインターネット通販で販売されています。これらの商品は、たんぱく質をはじめとして、ビタミンミネラル、エネルギーをとれるようになっています。

飲料やゼリータイプのものなど、各メーカーが様々な商品を販売しています。できるだけたんぱく質とカロリーがとれるものを選びましょう。ただし、ビタミンAの量が妊娠後期の目安である730~780μgを超えないように注意しましょう。

下記の記事では、鉄分が簡単に補える飲み物や栄養ドリンクを紹介しています。参考にしてみてください。

食べていないのに体重が増えるケースはよくあります。原因として考えられるのは「無意識に食べている」「むくみで体重が増えている」などです。

むくみは生理的に起こるケースの方が多いですが、血圧が高く急激に体重が増えたときは、妊娠高血圧症候群でむくみがひどくなっている可能性もあります。なるべく早く医師に伝えましょう。

食べていないつもりなのに体重が増えるのは、「無意識に食べている」「少量頻回摂取にしているため知らない間に食べすぎている」可能性があります。食事の量を見直してみましょう!

妊娠後期はできるだけ楽に過ごすのが正解!

体が重くなり動くのがしんどくなる妊娠後期は、無理をせず、できるだけ楽に過ごすのが正解です。分娩も育児も体力勝負です。いまから体力を温存しておきましょう!

食べられそうな物をこまめに食べ、休める時は休み、家族の協力を得ながら楽しい妊娠ライフを送りましょう!

参考・参照
(*1)MEDIC MEDIA 病気がみえる vol1.10 産科
(*2)胎児発育におよぼす母体低栄養の影響 産婦進歩 第30巻5号 1978. 9. (pp.445~446) 
(*3)メディカ出版 ペリネイタルケア2020年夏季増刊 妊産婦の指導 トラの巻き

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