妊娠中は、毎日の食事作りに頭をかかえてしまいがちですよね。お腹の中の大切な赤ちゃんのためにも、栄養に配慮をした食事を摂りたいところです。
しかし、食事を意識してとることは意外と大変なこと、「何をとればいいんだろう?料理のレパートリーが少なくて困っちゃう」などなど妊娠中の食事に関するお悩みは沢山です。
そこで今回は、妊娠中に必要な栄養素の確認、献立作成のポイントから、おすすめレシピまでを丁寧にお話ししていきます。献立作成の手順は、流れを図にまとめることでとってもわかり易く解説していきます!
食事でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.妊婦さんが意識して取り入れたい3つの栄養素。
まずは、妊娠中に特に必要な栄養素3つについて詳しく見ていきましょう。
- 葉酸
- カルシウム
- 鉄
1-1.葉酸
葉酸の不足は、赤ちゃんの発育に障害を与え、赤ちゃんの神経管閉塞障害のリスクに繋がります。妊娠中は赤ちゃんの健やかな発育のために、葉酸を意識して多めに摂る必要があります。
葉酸の推奨量は、妊娠をしていない女性18歳から49歳で240µgとされています。対し、妊娠中の女性は480µgとされており、通常時より2倍の摂取が望ましいとされています。とくに妊娠前~初期の間は、サプリメントでの摂取も勧められています。
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より。
葉酸は主に、枝豆やモロヘイヤ、ほうれん草など緑黄色野菜に多く含まれています。普段から野菜を意識して取り入れると良いでしょう。
葉酸は摂取を促されている栄養素ですが、過剰摂取には注意が必要です。1日1000µgを超えることがないようにと「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では示されています。とくにサプリメントなどを使用する場合は、たくさん摂りすぎてしまわないように気をつけましょう。
1-2.カルシウム
カルシウムは、骨や歯の形成に大切な栄養素です。 妊娠中のお母さんの体調管理、将来的な骨粗鬆症を防ぐためにもカルシウムはしっかりと補いましょう。
妊娠中のお母さんはカルシウム不足になりやすいです。なぜなら、妊娠期は赤ちゃんの骨を丈夫にするため、母体のカルシウムが優先的に赤ちゃんに送られるような仕組みになっているからです。
カルシウムは妊娠期に付加量が定められている栄養素ではありません。しかし、普段の生活の中で不足しがちな栄養素なので、しっかりと意識をしながら摂ることが大切でしょう。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、18歳から49歳の女性の、カルシウムの推奨量は一日に650㎎とされています。
カルシウムは、牛乳やチーズなどの乳製品、しらすや桜エビなどの小魚に多く含まれています。おかずや間食にこれらの食品を取り入れることで、一日650㎎を摂れるよう心がけましょう。
1-3.鉄分
妊娠中は貧血を防ぐために、鉄分の補給が大切です。
妊娠中の母体は、赤ちゃんに酸素や栄養を送り届けるために血液量が増加し、血液濃度が薄くなります。これが、鉄欠乏性貧血を引き起こす原因になります。
もともと貧血を持っている方はもちろん、普段は貧血でない方でも鉄が不足しやすい状態になりますので、注意が必要です。
妊娠中の鉄の推奨量は以下の通りです。
推奨量 | 耐用上限量 | |
非妊娠時(月経なし) | 6.5mg | 40mg |
妊娠初期 | +2.5mg | ― |
妊娠中期・後期 | +9.5mg | ― |
授乳婦 | +2.5mg | ― |
鉄分は主に、レバーやカキ、貝類に多く含まれます。 しかし、レバーに含まれる動物性ビタミンAは、過剰摂取をすると赤ちゃんの奇形のリスクがあるので摂取量に注意が必要です。
鉄分は食事から十分な量を摂取することが難しい栄養素なので、サプリメントを上手に活用して補うのも一つの手です。
2.妊娠期の献立作りの流れと4つのポイント。
妊娠期に大切な栄養素、『葉酸、カルシウム、鉄分』についてお話ししてきました。では、それらの栄養素を上手に含んだ食事はどのようにつくれば良いのでしょうか? ここでは、実際の献立作成のコツについて、ポイントを4つに絞ってご紹介します。また、ポイントを掴んだうえで献立を立てる際の流れを紹介します。
2-1.主食、主菜、副菜を基本に、バランスよい食事を揃えましょう。
献立を立てる際の、基本はバランスの良い食事です。ここでは、バランスの良い食事=主食、主菜、副菜(2~3品)が揃った食事と定義します。 主食、主菜、副菜の役割をそれぞれ下に示します。
・主食
身体のエネルギーのおおもとになります。ご飯やパン、麺など炭水化物を中心に十分なエネルギーをチャージしましょう。
・主菜
丈夫な身体を作るもとになります。肉、魚、卵などのタンパク質をしっかりと摂りましょう。
・副菜
カラダの調子を整える働きを持ちます。いろいろな食材を用いることで、葉酸、カルシウム、鉄分などを含む様々な栄養素がバランスよく揃うので、不足しやすいビタミンやミネラルを総合的に補うことができます。
バランスの良い食事を準備すると自然と食卓に並ぶお皿の数は増えます。普段から、食卓に数種類のおかずを並べるよう意識し、バランスよく栄養素を取り入れられる準備を行うことが理想的です。
2-2.副菜にはカルシウムな食材を取り入れましょう。
前述した通り、妊娠期に必要なカルシウムは普段の生活でも不足しがちなので、意識して献立に取り入れる必要があります。
カルシウムを十分に摂取するためには、特に副菜が重要になってきます。 副菜を考える際は、複数の野菜と、牛乳、乳製品など多様な食材を取り入れることで、普段の食生活で不足しがちなカルシウムも上手に補うことができます。
また、多様な食材を取り入れることで、カルシウムの吸収率をアップさせるビタミンCやビタミンD、マグネシウムも補うことができます。
ある一定の食材だけにこだわらず、幅広い範囲で食材を選ぶことが大切です。
2-3.塩分は控えめにしましょう。
献立を立てる際は、高塩分にならないよう味付けを注意する必要があります。塩分を過剰に摂りすぎてしまうと、むくみや体重増加などのさまざまなトラブルの原因となります。
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、妊婦さんの食塩摂取量の目安は6.5g未満です。
「平成 30 年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)」では、食塩摂取量の平均値は女性で9.3gと示されています。平均的にオーバーしてしまっているため、普段濃い味付けを好む方以外にも、妊婦さん全員が気をつける必要があります。
減塩のテクニックとしては以下を参考にしてください。
- だし、薬味などの香りを効かせる
- 醤油はスプレータイプにする
- 減塩調味料を使う
- 麺類はスープを飲み切らない
2-4.カロリーの取りすぎに注意。
カロリーの摂り過ぎは体重増加、妊娠糖尿病などのリスクを高めてしまいます。
献立が大方決まったらカロリーの計算をしましょう。
「妊産婦のための食事バランスガイド」より、カロリーの推定必要量は妊娠初期で2200kcal、中期2450kcal、後期2650kcalとされています。
2-5.献立作りの手順
献立作りの流れは以下の通りです。
※塩分量やカルシウム、カロリーは、あすけんなどのアプリで簡単にチェックできます。
3.これをまねしてすぐ実践!レシピ紹介。
献立作成のポイントを捉えても、いざ実践に移すとなるとこれが意外と難しいですよね。まずは、お手本のレシピを参考に取り入れることから始めてみましょう。 ここでは数あるレシピの中から選んだ、簡単でだれでもすぐに実践できる、妊婦さんにおすすめのレシピを紹介していきます。
3-1.妊婦さんのための主食レシピ2つ
[小松菜しらすごはん]
引用:https://cookpad.com/recipe/5068949
小松菜で葉酸を、しらすでカルシウムが強化されているのでおすすめです。
一人前:カルシウム約75㎎、塩分0.5g、カロリー350kcal
[さっぱり!梅にゅうめん]
梅の酸味を効かせたソーメンは、つわりの辛い時にも比較的食べやすくおすすめです。スープは飲み切らないことで、塩分摂取量を抑えられます。
一人前:カルシウム116㎎、塩分3.4g(つゆ含む)、カロリー202kcal
3-2.妊婦さんのための主菜レシピ3つ
[野菜たっぷり豚しゃぶ]
さっぱりとした豚しゃぶはつわりのときにも受け入れやすくおすすめです。
一人前:カルシウム117㎎、塩分1.2g、カロリー234kcal
[圧力鍋で作る鰯の梅酒煮]
骨まで食べられる梅酒煮は、タンパク質とともにカルシウムもたっぷりと補えます。塩分は、出汁、減塩調味料を使うことで抑えましょう。
一人前:カルシウム278㎎、塩分4.8g(つゆ含む)、カロリー224kcal
[貧血さんにも!しらすとあおさ入り卵焼き]
しらすでカルシウムを、あおさで鉄分を強化されており、妊婦さんにおすすめです。
一人前:カルシウム84㎎、塩分1.5g、カロリー116kcal
3-3.妊婦さんのために副菜レシピ3つ
[じゃがいもと水菜のサラダ]
じゃがいもでビタミンC、水菜で葉酸、カルシウムが強化されておりおすすめです。
一人前:カルシウム72㎎、塩分0.5g、カロリー156kcal
[ひじきサラダ]
ひじきはミネラルの宝庫。鉄分だけでなく、カリウムや食物繊維補給にも役立ちます。
一人前:カルシウム92㎎、塩分1.1g、カロリー116kcal
[小松菜と油揚げの副菜]
小松菜でカルシウムを補うことができます。とても簡単なレシピでおすすめです。
一人前:カルシウム168㎎、塩分0.7g、カロリー84kcal
3-4.妊婦さんのためのおやつレシピ3つ
[アサイーボウル]
フルーツでビタミンを、牛乳でカルシウムを補うことができます。
一人前:カルシウム124㎎、塩分0.3g、カロリー202kcal
[ヘルシー、ヨーグルトと豆乳のムース]
ヨーグルトと豆乳でカルシウムをたっぷり補うことができます。
一人前:カルシウム96㎎、塩分0.1g、カロリー93kcal
[モロヘイヤとスキムミルクの米粉マフィン]
葉酸たっぷりなモロヘイヤを使ったマフィンです。おやつにも間食にもおすすめです。
一人前:カルシウム62㎎、塩分0.1g、カロリー196kcal
以上お手本を参考に、自分流にアレンジを入れていくことで料理のレパートリーも増え、献立作成がどんどんと上手になっていきますよ。
まとめ
妊婦さんに必要な栄養素から、献立作成のコツまでのお話しをしてきました。
食事準備の際は紹介した手順を参考に、以下の基本ポイントをおさえましょう。
- 主食、主菜、副菜を基本に、バランスよい食事を揃える
- 副菜にはカルシウムな食材を取り入れる
- 塩分は控えめにする
- カロリーは過剰に注意する
妊娠中は食事に気を遣うため何かと大変ですが、手抜きしながらもポイントを押さえ、必要な栄養をしっかり摂れるよう工夫しましょう。